薄皮シリーズ「5→4」変更の発表が"失敗"である訳 消費者とのコミュニケーションにエモさが欠けた
人気商品「薄皮」シリーズが、5個から4個に減る——。公式発表を受けて、SNS上ではショックの声が絶えない。
山崎製パンは2022年12月5日、来年1月出荷分から「薄皮」シリーズ全7品の内容量を変更すると発表した。小麦粉などの原材料価格の高騰を受けて、同社は1月と7月に食パンや一部菓子パンの価格を改定。しかし、それ以降も油脂類や糖類などが高騰し、エネルギーコストの上昇も続いていることから、コスト増が「企業努力による吸収の範囲を超えた大変厳しいもの」として、内容量変更に至ったとしている。
あわせて2023年2月出荷分から、「ランチパック」の3品(ピーナッツ、たまご、ツナマヨネーズ)についても、平均4.7%(出荷価格改定率)の価格改定を行う。
筆者が長年、ネットメディア編集者として見てきた経験からいうと、ネットユーザーは値上げ、とくに内容量削減へのアレルギーを持っている。しかし、それでもなお、ブランドイメージを強めた事例もある。そういう意味では、今回の薄皮シリーズの(実質的な)値上げ発表には、「もったいなさ」を感じさせられた。
値上げのピンチをチャンスに変える、SNS時代の企業コミュニケーションとは、一体なんなのだろうか。過去の事例を交えつつ、紐解いていきたい。
圧倒的存在感の「薄皮」シリーズ
「薄皮」シリーズは、山崎製パンの売れ筋だ。同社のオウンドメディア「パンキジ」の記事によると、「薄皮つぶあんぱん」は、数ある人気菓子パンを上回り、2016年の年間単品売り上げ1位(出荷価格ベース)。2020年7月〜2021年6月の売上は、「薄皮つぶあんぱん」約5800万袋、「薄皮クリームパン」約4800万袋、「薄皮チョコパン」約3200万袋、「薄皮ピーナッツパン」約1400万袋、「薄皮白あんぱん」約700万袋だとしている。
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