「自民・国民民主」連立説が示す岸田政権の深い危機 真偽不明の怪情報?与野党に広がる複雑な波紋

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今回の風説が浮上した背景には、今年に入って与党寄りが際立つ国民民主の対応がある。同党は前通常国会で2022年度予算と第1次補正予算に賛成。さらに臨時国会でも第2次補正予算に賛成し、最大の焦点の被害者救済法案についても、他野党に先行して賛成方針を打ち出した。まさに「与党そのものの対応」(維新幹部)ともみえる。

今の国民民主は、旧国民民主党が旧立憲民主党と合流する際、玉木氏を中心に合流不参加議員が2020年9月に結党した。現時点での所属議員は衆参いずれも10人だ。岸田政権誕生後、昨秋の衆院選では公示前から3議席増の11議席を獲得したが、今年7月の参院選では改選数を維持できず、5議席に終わっている。

「玉木氏は将来、岸田派入り」とのうわさも

そもそも玉木氏は、岸田首相の派閥・宏池会の先達の故大平正芳元首相の「後継者」として政界入りを目指した経緯がある。岸田首相の懐刀の木原誠二官房副長官とは東大法学部、大蔵省入省の同期生で、極めて親しい間柄とされる。このため、岸田政権発足後は「玉木氏はいずれ自民党入りして、岸田派に入会する」(閣僚経験者)とのうわさも流れたほどだ。

そうした中、公明党は自民、国民民主の接近に露骨な不快感を示す。国民民主が連立入りすれば政権内での公明の存在感が低下することに加え、衆院小選挙区の「10増10減」に伴う選挙区候補者調整がますます複雑になるからだ。

このため、公明側幹部は「国民民主の連立入りなどありえない。そうなれば連立崩壊だ」と明言。その一方で連合幹部も「国民民主を支援する民間労組は大反対だ。連立入りすれば、国民民主は分裂する」と苦々しげに語った。

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