先の読めない会社に欠けている"考え方のクセ" 企業が持続的に成長するために必要なこと
未来創造に必要なのは、細かな個別事象を当てることではない。未来の方向性を予測し、それに沿って未来を先取りすればよい。
このようにSF的に「どうせ来るであろう未来」を想定するアプローチを「バックキャスト」という。それに対して、過去から積み上げて過去の延長線上の未来を考える方法を「フォアキャスト」という。
「フォアキャスト」で考える未来には過去・現在という足枷がある。自分の会社や組織の未来は、バックキャストを通じて創り出していこう。
未来には今では考えられないような「妄想」が実現していく一方で、会社は過去から培われた「常識」で動く組織だ。そして、その未来の「妄想」を「常識的にはそんなことは考えられない」と無視した結果、消滅した事業や会社もたくさんある。
「妄想」しなかったコダック社
たとえば、イーストマン・コダックという超優良企業があった。コダックは、1912年に35mmフィルムの特許を取得し、急成長する写真フィルム産業のリーダーとなり、世界で最も利益率の高い、またイノベーティブな会社として尊敬されてきた。世界最初のデジカメも、1975年にコダックが開発したものだ。
しかし、コダックはデジカメを「この技術は使い物にならない、写真フィルムの敵ではない」と判断した。たしかに当時の最新技術で作ったデジカメは、複雑で巨大で高価で、かつ解像度も低かったのだ。その試作品に対する評価は正当だろう。しかし、コダック社はそこから「妄想」をしなかった。デジカメをムーアの法則に従って指数関数的に進化するものではなく、未来にも「ずっと使い物にならない」ものだと考えたのだ。
そして2000年頃から急速に進化したデジカメは、写真フィルムの市場を奪っていき、特許取得の100年後の2012年に、コダック社は倒産した。優秀な人材を揃え、世界から尊敬される会社でも「妄想」が足りないと衰退してしまう。あなたの会社や組織では、思い切り「妄想」して、未来を創り出していこう。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら