森保監督の続投有力、そのメリットとデメリット 路線継続で4年後の8強は叶うのか?

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サッカー 森保 日本代表
クロアチア戦後、選手を抱きしめる森保一監督(写真:時事)

2022年カタールワールドカップ(W杯)ラウンド16・クロアチア戦。日本はPK戦の末に敗れ、4度目の8強挑戦は終わりを告げた。

「ここまでベスト8に近づいても壁を越えられない? 何なんでしょうね……。森保(一)監督もリスクを冒してターンオーバーを使って、プラン通り予選を突破して、ここ(ラウンド16)に余力を残して挑んだ。明らかに相手も疲弊していたので、いい形で来ていたはずなんですけど。ただ、やっぱり相手の守備が堅かったのもあるし……。ホントに何が悪かったか分かれば修正しますよ」とキャプテン・吉田麻也(シャルケ)も改めて大目標達成の難しさを再認識したようだった。

こうして「新しい景色」を見られないままカタールの地を去ることになった日本。2026年のアメリカ・カナダ・メキシコ共同開催W杯では高いハードルを必ずクリアしなければいけない。そのためには個々のレベルアップが必要不可欠だ。

「ここ(W杯8強以上)には化け物しかいないですけど、今度は自分が化け物になって戻ってこないといけない」と田中碧(デュッセルドルフ)が語気を強めたように、多くの選手が欧州5大リーグ、あるいはUEFAチャンピオンズリーグ決勝トーナメント上位クラブで中心的な活躍をする状況を作らなければいけない。それが4年後に叶うかどうかは未知数だが、今大会2得点の堂安律(フライブルク)、1得点の田中、前田大然(セルティック)ら東京五輪世代がのし上がっていくしかないだろう。

同時に極めて重要なのが、次期監督問題。大会期間中には前ドイツ代表監督のヨアヒム・レーブ氏、アルゼンチン代表などを率いたマルセロ・ビエルサ氏、ロシア・カタール両W杯でベルギー代表を率いたロベルト・マルティネス監督らの名前が挙がったが、現状では今大会でドイツ・スペインというW杯優勝経験国を破った森保監督の続投が最有力と見られている。

「代表監督を続けたい」とニュース番組で意欲

6日の現地での取材対応で「大変な代表監督という仕事を続ける気持ちはあるか」と報道陣に問われた指揮官は、「監督業を続けていこうかなという気持ちはありますし、少し間をおいて欧州に勉強に行くことも考えています。報道は見ましたが、現実的な話はしていなくて、これから。流れに沿って行きたい」とコメント。11月1日のメンバー発表会見で用いた「行雲流水」のスタンスで、次なるチャレンジを考えていく考えを示した。

さらに7日の帰国後に出演したニュース番組で「代表監督を続けたい」とも発言。すでに続投を決意している様子も窺えた。

仮に森保体制が継続した場合、メリットとデメリットがあるのは確か。まずメリットを見ていくと、2018年以降の流れを踏まえながら継続的な強化ができること。指揮官と主要メンバーとの信頼関係も確立されていて、選手たちは戸惑うことなく次の4年に向かうことができる。

「森保さんがここまで信用してくれて、僕にいろんな役割を与えてくれなければ、自分の成長もなかったと思いますし、物凄く感謝しています。監督をもう1つ上に連れていってあげたかったですね」と吉田もしみじみ語ったが、森保監督は選手1人ひとりと向き合い、密に意見交換を実施。彼らの考えを理解し、吸い上げたうえで戦術や戦い方を決めていた。そういった「選手ファースト」のスタンスは歴代代表監督の中でも屈指と言える。

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