うつで2回休職した彼女が開き直って掴んだ天職 出版社→絵本作家→なおにゃんが歩んできた半生

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田舎の何もない風景が、何にもない自分に妙にシンクロして、いつの間にかポタポタと涙が流れてきた。

絵本が好きで始めたはずなのに、いつの間にかすごくつらくなっていた。

それでも踏ん張って絵本作家を続けていたが、2020年にコロナ禍になってしまった。

普段から引きこもり気味だったが、緊急事態宣言になってさらに家にこもるようになった。

「もともとメンタルが弱いのに、コロナ禍でさらに不安が煽られて

『ああ、もうダメだ!!』

ってなりました。この鬱っぽい気持ちを何かにぶつけなければならない!!って思って、ツイッターに“なおにゃんのアカウント”を作りました」

そもそも、石崎なおこの名義のツイッターのアカウントはあった。ただフォロワー数は200~300人ほど。絵をアップしても2~3いいねがつくくらいのアカウントだった。

「そのアカウントは児童書の作家のアカウントだから、本音が書けなかったんですね。子供が見てるアカウントで『死にたいです』とか『鬱です』とか書けないじゃないですか。でもなんかすごく自分でも“スカしてる”感じがしたんです。スカしてることが大嫌いなのに、いつの間にか自分もスカした人間になってるなって思って。新しいアカウントを作った時に『スカさないで、自分の本音を書こう』って決めたんです」

(イラスト:なおにゃん)

嘘偽りなく素直に表現

前々からあったメンタルの悩みや、当時抱えてた鬱屈とした気持ちを、嘘偽りなく素直に書いた。

想像を何倍も上回る、ものすごい数の反応があった。数千リツイート、数千いいねがついた。

「本音とイラストが一緒に合わさると、見てもらえるんだって。なんかこう……自分の弱さを見せると、受け入れてもらえるんだなって思いました。

やっぱりイラストを見てもらえるというのが素直に嬉しかったです。ずっと自分の絵やイラストを見てもらえないことに悩んでいたので。ツイートを見て反応してくれる人はありがたいです。

ずっと学歴や職歴とか、いわゆる“権威”のようなものがないと自分は存在価値がなくて、誰からも見てもらえないっていう劣等感があったんですけど、なおにゃんアカウントは本当に何もないところから作って伸ばせたから、自信にもなりました」

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