うつで2回休職した彼女が開き直って掴んだ天職 出版社→絵本作家→なおにゃんが歩んできた半生

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徐々にイラストや漫画の仕事をもらえるようになってきた。

「でも、今だけのものだと思ってます。やっぱりSNSって虚像だから。そのうち、叩かれたり、炎上したりして辞めざるをえなくなるかもしれない。だから、あんまり固執しないようにしてます。

『なおにゃん=私』

とは思ってなくて、なおにゃんは私の小指の先くらいの存在だって思ってます。小指の先だったら悪口言われても気にならないし、最悪手放しても大丈夫。今、やれるうちにやっておこうというラフな気持ちでいます。

会社員もダメだったし、絵本作家もうまくいかないときがあったけど、結局何年か後に復活できました。だからまたうまくいかなくなっても『2~3年後に復活して、なんかまた始めればいいじゃん?』くらいに思ってます」

(イラスト:なおにゃん)

「夢をかなえたかったら黙々と淡々と」

なおにゃんさんは最後に、

「本当に叶えたい夢があったら、その夢をわざわざ公言する必要はないんじゃないかな?」

と語った。本当に夢を叶えたかったら、大々的に言わず、黙々と淡々とやったほうが良い。なおにゃんさんはそうやって夢を叶えてきた。

休職明けにトイレに閉じこもった時、

「いつかこの経験を10年後に書いてやる」

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と思っていた。そのまま思い続けていたら、10年後に漫画にして発表することができた。

次に上梓する単行本では、休職中に旅した話を漫画にして発表する予定だという。

それもずっと誰にも話さず1人で思ってきたことだ。

なおにゃんさんは話していて、言葉を丁寧に選んで話す繊細な人という印象を受けた。

でもそれと同時に、たくましさ、したたかさを持っているのも感じた。

なおにゃんさんが作る作品もやはり、繊細さとたくましさを同時に感じる。だから多くの人の共感を得るのだろう。

これからも、なおにゃんさんが作る作品に期待したい。

村田 らむ ライター、漫画家、カメラマン、イラストレーター

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むらた らむ / Ramu Murata

1972年生まれ。キャリアは20年超。ホームレスやゴミ屋敷、新興宗教組織、富士の樹海などへの潜入取材を得意としている。著書に『ホームレス大博覧会』(鹿砦社)、『ホームレス大図鑑』(竹書房)など。

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