40歳にモノづくり漫画で花開いた男が掴んだ天職 「シブすぎ技術に男泣き!」見ル野栄司の舞台裏

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理工系エンジニア出身という異色の経歴をもつ漫画家、見ル野栄司さん(筆者撮影・提供画像)
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これまでにないジャンルに根を張って、長年自営で生活している人や組織を経営している人がいる。「会社員ではない」彼ら彼女らはどのように生計を立てているのか。自分で敷いたレールの上にあるマネタイズ方法が知りたい。特殊分野で自営を続けるライター・村田らむが神髄を紡ぐ連載の第106回。

理工系エンジニア出身の漫画家

見ル野栄司さんは前職が理工系エンジニアという異色の経歴を持つ漫画家だ。

2010年に発売されベストセラーになった『シブすぎ技術に男泣き!』(中経出版)では、日本のモノづくりを支える男たちを取材して大いに話題になった。

技術者として生きてきた見ル野さんが、どのような道をたどり漫画家になったのか? 話を聞いた。

見ル野さんの出身は静岡県の島田市。大井川鉄道の走る、大井川のほとりだ。

自宅は田舎の住宅街にあり、いつも遊びにいく裏山も300メートル級の立派な山だった。

ちなみに一風変わった見ル野という名字は本名で、そもそも埼玉発祥だという。見ル野さんの祖父は医師で、静岡県島田市に移転して開業した。見ル野さんのお父さんは生まれた時から、島田市で育っている。

「子供の頃は毎日山や川で遊んでましたね。学校帰りに山に登ったり、自転車で川に遊びにいったり。悪ガキでした。不良ってわけでもないんですけど、学級会では

『見ル野くんに顔に砂をかけられました!!』

『傘のグリップで股間をギュッとされました!!』

とかよく吊るし上げにされたりしてました」

見ル野さんの代表作『シブすぎ技術に男泣き!』(中経出版)

見ル野さんが中学の時に「ファミリーベーシック」という玩具商品が発売された。

ファミリーベーシックとは、ファミコン本体にロムカセットとキーボードを接続すると、BASICのゲームプログラムを自作することができるようになるゲーム機周辺機器だ。

「お年玉で買って、それで夢中でプログラムを打ってゲームを作って遊んでましたね。コンピューターのプログラミングとの出会いはそれが初めてですね。

あとは、自転車をゴミ置き場から拾ってきて、改造して乗ったり、その自転車で通学したりしてました」

学校では、算数が得意で、国語が苦手だった。その傾向は進学しても変わらなかった。高校では、数学と体育と美術だけがずば抜けて成績が良く、他は赤点だった。

次ページ小中で漫画を描き、高校ではバンド活動に勤しむ
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