40歳にモノづくり漫画で花開いた男が掴んだ天職 「シブすぎ技術に男泣き!」見ル野栄司の舞台裏

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『シブすぎ技術に男泣き!』がベストセラーになると、講演会の依頼が来た。

取材した会社の漫画をプロジェクターで映しながら、数百人の前で解説した。

初のストーリー漫画『ロッカク』(KADOKAWA)

初のストーリー漫画『ロッカク』(KADOKAWA)では、町工場の新入社員が技能五輪にチャレンジする漫画を描いた。

原作を担当した『グッドファザーボード』(講談社)は、自動運転の開発に挑む天才エンジニアが、妻が失踪した後に、初めて息子と向き合うホームコメディだ。

「ただ、『シブすぎ技術に男泣き!』以降ガツンと売れてる作品はまだできてないですね。ただそれでも現在も雑誌で原作をやる話はきていて、ちょうど今『デスゲーム』の開発者の漫画の原作を書いています。2023年に連載スタートする予定です」

モノづくりへのこだわりを持ち続ける

40歳でブレイクして以来は漫画家専業で食べていけるようになった見ル野さんだが、今でもエンジニアとして、モノづくりをしたいという気持ちはあるという。

「実は家に電気回路を作る設備とか、フライス盤とかハンダゴテとか、全部あるんですよ。ずっとエンジニアが本職で、趣味が漫画家でしたけど、今は逆転して趣味がエンジニアになってます。いつか、漫画家用の椅子を作りたいと思ってるんですよね。作業用の椅子もそうですけど、アイデアが出る椅子も。ロッキングチェアってあるじゃないですか? アレって、アイデアが出るためにあるんじゃないかと思ってて……。今までにないロッキングチェアが作れないかな? と思ってます」

『グッドファザーボード』(講談社)では原作を担当

昨今、日本の技術力が落ちていることが指摘されることが多い。ただ、見ル野さんは絶望していないという。

「日本は機械加工や家電は外国に負けた、って言われてますけど、実は機械加工機、マザーマシンはまだまだ結構強いんですよ。精密な部品を作る機械などですね。それってわかりづらいから、メディアはあまり取り上げないですけど。あとは、半導体製造装置もまだ結構強いです。半導体を作ってるのは外国かもしれないけど、それを作れる機械を作っているのは日本だったりします。

若い理系の人って、プログラマーになる人が多いんですよ。もちろんその需要も増えているし気持ちはわかるんですが、機械系とか電気系に行く人って少ないんですよね。そちらを目指してもいい仕事ができると思うんですよ」

何らかの仕事を持っていて、それをやめて、漫画家になった人は多いが、見ル野さんほど前職を活かしている漫画家は珍しいと思う。

『シブすぎ技術に男泣き!』はまさに見ル野さんならではの漫画だった。これからも、見ル野さんしか描けない漫画を期待したい。

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村田 らむ ライター、漫画家、カメラマン、イラストレーター

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むらた らむ / Ramu Murata

1972年生まれ。キャリアは20年超。ホームレスやゴミ屋敷、新興宗教組織、富士の樹海などへの潜入取材を得意としている。著書に『ホームレス大博覧会』(鹿砦社)、『ホームレス大図鑑』(竹書房)など。

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