大学の「研究力・競争力」が低下している根本理由 競争力向上に向けた取り組み「大学ファンド」
公的年金の積立金を運用し、市場でも大きな注目を集める年金積立金管理運用独立行政法人、いわゆるGPIFの基本ポートフォリオが、国内債券、国内株式、外国債券、外国株式にそれぞれ25%ずつ配分するものであることを考えると、大学ファンドの資産配分は、株式の配分が多いなどの特徴がみられる。またオルタナティブ投資を積極的に推進することから、より高いリスクをとり、より高い投資成果を目指す運用といえそうだ。
大学ファンドに対する期待と懸念
大学ファンドが、目標どおりの運用を達成できた際には、長期的には年間で3000億円程度が対象となる「国際卓越大学」に助成されることとなる。対象の「国際卓越大学」にとっては、より充実した研究環境の整備や学生および優秀な若年研究者の育成などが行えることになる。結果として、日本の大学の競争力向上に資することになろう。
一方で、大学ファンドには、懸念点も存在する。たとえば、助成の対象となる「国際卓越大学」の数はそれほど多いものではなく、対象とならなかった大学には、大学ファンドからの助成は行われない。すなわち、「国際卓越大学」と対象とならなかった大学とで、大学間の競争力の格差が拡大していくこととなる。
また、運用目標の実現可能性には懸念もある。前述のように、大学ファンドには、高い運用目標が課せられている。また、その目標を達成するために、相対的に高いリスクで運用することとなる。運用目標を達成できなかった場合や資産運用において損失を被った場合には、予定どおりの助成が行われない可能性もあるということだ。
また、大学ファンドの資金が公的資金から拠出されていることを考えれば、大規模な損失により公的資金の毀損につながるリスクもあるということをおさえておく必要があるだろう。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら