星野リゾートが「温泉旅館」で海外進出する真意 「30年で激変」日本文化に対する世界の理解
コロナ禍による大きな影響を受けた旅行・宿泊業界の中にあって、星野リゾートの活発な動きが目立つ。海外市場に着目すると、同社は既オープンの4施設(バリ、台湾、ハワイ、中国)に続いて、2023年4月にはグアムに進出する。
さらに、その先の海外進出のステップとして、星野佳路代表は北米大陸市場に狙いを定めている。具体的には、「北米の大都市から3時間圏内で天然温泉が湧いている場所」(星野氏)という条件で出店先を探しており、施設の形態としては日本の温泉旅館のスタイルにこだわるという。
同社の今後の海外戦略や、なぜ「温泉旅館での海外進出」にこだわるのかなどについて、星野氏に話を聞いた。
人口減少に対する危機感
星野リゾートの海外進出の状況を見ると、バリ(2017年1月)、台湾(2019年6月)、ハワイ(2020年1月)、中国(2021年4月)、グアム(2023年4月予定)と、コロナ下においてもコンスタントに海外出店を続けている(カッコ内は開業年月)。
このように海外進出を積極的に進める理由について星野氏は、日本の人口減少に対する強い危機感があるからだと言い、具体的には次のように話す。
「星野リゾートは今年で創業108年目の家族経営の企業だが、ファミリービジネスの経営者は、ビジネスをいかに良い状態で次世代に継承するかということを常に考えている。
こうした視点で見たとき、今から50年後、100年後を見据えると、人口減少にともなう国内需要の減少などから世界の中での日本の経済的なプレゼンスは落ちざるをえない。そうなれば、円だけでしか稼げない会社は、相対的に地位が沈むことになる。私たちがホテル業界の中で生き残っていくためには、必然的にドルやユーロなど外貨で稼げる運営会社にならざるをえず、そのためには海外に打って出るしかない」
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