炭水化物の摂取をやめたり、量を減らしたりする場合には、その穴をほかの多量栄養素で埋めることになる。そうすると、タンパク質と脂肪の摂取量が不健康なレベルまで増える可能性がある。それで空腹感はおさえられるので減量には役立つかもしれないが、コレステロール値の上昇などほかの問題が起こる。若い健康な成人が高タンパク質・低炭水化物のダイエットをすると、LDLコレステロールが44%増加したという研究結果がある。
ただし、2型糖尿病の人にとっては、低炭水化物ダイエットが安全で効果的な体重管理方法になりうるという。その場合は専門家に相談し、血糖値をモニタリングしながら行うことが重要だ。
体は「デトックス」を必要としていない
2つ目はデトックス(解毒)。この言葉は魅力的で、ダイエット業界でも盛んに用いられる用語だ。多くの人はデトックスの何たるかをわかっていないのに、大量に汗をかいたり、利尿作用を促すお茶などを飲んだりすることで満足してしまいがちである。
そんなデトックスブームに対して言えるのは、減量効果はないということだ。栄養摂取の面では絶対に足を踏み入れてはいけない領域だとも言える。
私たちは体を「浄化する」、つまり解毒する必要はまったくなく、この手のダイエットをしても、期待されるような浄化や解毒の効果はないだろう。
ダイエットをする人たちが、費用が高く、制約がひどく多いデトックスダイエットを何度も始める気になるのは、終えるとすっきりした気分になると考えるからだ。私たちは毎日、たとえば呼吸する空気や口にする食べ物に含まれる環境有害物質と接触している。体は、体内に入り込んだ毒素や老廃物を肝臓の作用によって効率的に取り除く機能をそなえた、すばらしい有機体だ。
デトックスダイエットを実行すると、体重が減る可能性はあるが、ほとんどが水分の減少であり、普通の食事に戻すと元に戻るだろう。
また、お茶によるデトックス法「ティートックス」に危険が伴う。センナ葉のように、便秘の治療として使われる成分を含むものがあり、服用すると脱水や腹痛、下痢を引き起こす可能性がある。そうした下剤のような効果によって短期的にはやせたように感じたり、スリムに見えたりしたとしても、脂肪減少には影響しない。お茶を飲めば体重が減るという話を裏付ける科学的根拠はないそうだ。
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