静岡の自動車学校にブラジル人が集まる納得理由 ポルトガル語に対応する指導員がそろう
そこで早川さんは、地域のブラジルの人たちに免許を取得してもらうことを考えたのでした。しかし外国人にとって、免許証の取得は容易なことではありません。日本語も片言の方が大半であるうえ、自動車学校のほうにもブラジル人とコミュニケーションがとれるスタッフがいなかったからです。
第一、筆記試験問題も解答も日本語が前提です。早川さんは、とにかく行政の理解を得なければこのサービスは進まないと考え、公安委員会に出向いてブラジル人の生活実態を詳細に説明し、運転免許証取得支援の必要性を何回も何回も訴えました。粘り強い交渉と説得力ある資料説明の結果、ついに2010年、ポルトガル語での筆記試験が可能となりました。
早川さんは、次は受け入れ態勢の整備をしなければと、ポルトガル語で対応できる窓口のスタッフと、教員(指導員)の確保に動きます。もちろん、募集すればブラジル人を運転指導する教員が応募してくる、というわけではありません。だから早川さんは、ふさわしいブラジル人を探し、採用し、時間をかけて育てました。現在ではブラジル人の指導員(教員)が3人、窓口スタッフも1人在籍しています。
ちなみに、静岡県セイブ自動車学校で自動車免許証を取得するブラジル人は、年間、なんと450人から500人もいます。わざわざ県外から自動車免許証を取得するために浜松に来るブラジル人も増えています。
大学院に入って社会人学生になった理由
最後になりますが、早川さんには今、法政大学の大学院博士後期課程に通学する社会人学生という肩書もあります。
早川さんが大学院に通い、中小企業経営の分野で著名な井上善海先生に師事しているのは、博士号を取得するためではありません。幼少の頃、若かった頃は環境がきわめて厳しく、時間的・経済的な理由で大好きな勉強が十分できなかったからです。
そして、もうひとつの目的は、自分のような境遇で生きてきた人間でも、努力をすればいつの日か報われるということを、多くの人に証明したいからです。
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