静岡の自動車学校にブラジル人が集まる納得理由 ポルトガル語に対応する指導員がそろう
しかし子供たちは次第に叔母夫婦から疎まれ始め、妹や弟は大声で叱られるようになります。「これ以上この家にいたら、妹や弟があまりにかわいそうだ」と思いつめた早川さんは、幼い妹と弟の手を引き、父親のもとを目指し、叔母夫婦の家を飛び出すようにして出てきたのでした。
このような自身の体験から、早川さんは親と別れて暮らす子供への支援を心に決めます。
児童養護施設で育った子供たちが就職できない現実
静岡県セイブ自動車学校の経営者となった早川さんは、児童養護施設で育った子供向けの「自動車免許取得支援制度」を創業と同時に創設しました。なぜ自動車免許の取得を支援するかといえば、18歳で施設を出なければならない子供たちのほとんどが、手に職もなく、資格なども取得しておらず、なかなか就職できないという現実を知っていたからです。
だから、自動車免許の取得を望んでいる子供たちがいれば、自動車学校を経営する者として、ひとりでも2人でも無償で受け入れようと考えたのでした。
「自動車免許取得支援制度」は、浜松市内にある2つの児童養護施設で生活し、自動車免許の取得を希望する全ての子供たちが対象です。
免許の取得にかかる費用は、人によって若干異なりますが、一般的には30万円前後です。この21年間で50人近い子供たちの自動車免許取得を支援してきたので、金額でいえばおよそ1500万円にもなります。
ちなみに静岡県セイブ自動車学校では、この子たちに肩身の狭い思いをさせないために、養護施設の入所者であることはだれにもわからないよう接しています。そうした早川さんたちの思いは、この子たちの心に、十分すぎるほど伝わっていることでしょう。
早川さんが地域で暮らす人々のために行ってきた取り組みは、これだけにとどまりません。
浜松市は全国有数のモノづくり地域であると同時に、海外に拠点を有する企業が多いということもあり、特に外国人が多い都市として著名です。とりわけ多いのはブラジル人で、現在では9500人となっており、全国で最もブラジル人が多く暮らしています。
ブラジル人は、最初はバスや電車、自転車や徒歩で通勤していましたが、所得が増加するとともに生活圏も拡大し、マイカー取得のニーズが高まってきました。
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