ただし、営業利益がほとんど出ない中で配当を続けますと、短期的に保有する株主には良いかもしれませんが、結局、長期的には会社の価値を下げてしまいます。この点には注意が必要です。
回転率の速さから利益率を高めているニトリ
続いて、ニトリの平成27年2月期 第3四半期決算(2014年2〜11月)を見ていきましょう。大塚家具は本決算でしたが、こちらは9カ月間の業績という点に注意してください。
損益計算書(6ページ参照)によると、売上高は前の期より9.5%増の3104億円。売上原価、販管費ともに微増し、営業利益は12.9%増の525億円となりました。かなり好調だと言えます。営業赤字の大塚家具とはかなり収益力に差が出ています。
なぜ、大塚家具が業績を落としている一方で、ニトリは伸びているのでしょうか。その理由は、「商品の回転率の差」からも読み取れます。
ニトリの売上原価率(売上原価÷売上高)は、47.8%。大塚家具は、44.9%(注:商品売上原価と商品売上高の金額を採用)。若干ニトリの方が高いですが、ほぼ同水準です。つまり、売上総利益率(粗利率)はさほど変わりません。
その上で、商品の回転率を計算してみましょう。大塚家具の場合、貸借対照表から棚卸資産にあたる「商品」を見ますと、150億円計上されています。在庫です。1カ月あたりにかかる商品売上原価は約20億円になりますから、およそ7.5カ月分の在庫を持っているということです。
一方、同じようにニトリの方も計算しますと、棚卸資産(商品及び製品+仕掛品+原材料及び貯蔵品)は393億円、1カ月あたりの売上原価は165億円ですから、2.4カ月分の在庫しか持っていません。在庫の回転率に大きな差があることが分かりますね。
ニトリの方が、大塚家具よりもずっと資金負担が少なく、回転率もよい経営をしていると言えるのです。
家具という商品は、一般的には「原価の2倍で売る」と言われています。家具は在庫を持つ時間が長い上、広い保管スペースも必要になりますから、2倍くらいの粗利をとらなければ利益を確保できないのです。
逆に考えますと、大きな粗利をとって値付けをしていますから、回転を速めれば、かなり儲かるのです。その点、ニトリはリーズナブルな価格なので、大塚家具と比べて回転がだいぶ違います。これが業績の差となって現れているのです。
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