メーカーが虎視眈々、「機能性表示食品」とは? 国が認める機能性表示で3つ目の制度が開始

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特定保健用食品(右)、栄養機能食品(左)に加えて、機能性表示食品の対象は(中央、イメージ)は、生鮮食品から加工食品、サプリメントまで幅広い(撮影:梅谷秀司)

「背が高くなる、二日酔いに効く、といった文言も表示できるのか」──。3月上旬、東京都内で開かれた「新たな食品表示制度に係る説明会」では、事業者からこんな質問も出た。主催した消費者庁の担当者は、さまざまな質問に「ノー」と言うことはなく、「科学的根拠があり、病者や未成年者などを対象としていなければ、国がダメという範囲は必要最小限にしたい」と説明した。

政府の成長戦略の一環で、「健康食品の『機能性表示』を解禁します」と安倍晋三首相が宣言したのが2013年。その後、制度化に向けた議論が重ねられ、4月からの機能性表示制度の開始に至った。

現在、食品について効果や機能を表示することは、原則として認められていない。いわゆる健康食品で国がそれを認めているのは、特定保健用食品(トクホ)と栄養機能食品だけだ。

”敷居”が高いトクホ

トクホは、国の販売許可を得るまでに多大な費用と時間を要するため、人員や資金余力が限られる中小企業には“敷居”が高い。一方の栄養機能食品は、国の基準さえ満たせば表示できる点でハードルは低いものの、成分ごとに使える文言が決まっている。

これに対し、新たな機能性表示制度は届出制。国による個別審査はなく、企業自身の責任で科学的根拠のある機能性を食品に表示できるのが最大の特長だ(表)。要は、トクホよりも手続きが簡素で、栄養機能食品よりも表示の自由度が高いといえる。

対象は生鮮食品や加工食品、サプリメントなど食品全般。機能性の表示には、国のガイドラインに沿った安全性・機能性の根拠となる情報を、販売の60日前までに消費者庁に届け出る必要がある。

「安全性」については、届出を予定している製品または類似するものがこれまで広く一定期間摂取されてきたこと、医薬品との相互作用の評価などが求められる。「機能性」に関しては、販売する製品を用いた臨床試験か、製品または機能性を持つ成分に関する研究レビュー(一定のルールに基づいた文献調査)で、説明する必要がある。また、食品であるため、「糖尿病の人に」「高血圧の人に」といったような形で、疾病の治療や予防効果を暗示する表現は認められない。

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