飲料メーカー続々参戦、過熱トクホに迫る試練 開発競争が続くトクホに“ライバル”の出現も
「勢いあるトクホ(特定保健用食品)市場をさらに活性化したい」(日本コカ・コーラの福江晋二マーケティング本部バイスプレジデント)。
日本コカ・コーラは、同社の茶飲料として初のトクホ商品「からだすこやか茶W(ダブル)」を4月7日に発売する。特徴は「トクホで初めて二つの保健用途(脂肪の吸収を抑える、糖の吸収を穏やかにする)を得た」(福江氏)こと。トクホ商品では過去最大のプロモーションを行う。
トクホとは、国の審査を受けて「おなかの調子を整える」などの保健用途の表示を許可された食品だ。この市場に、飲料メーカーが続々と商品を投入している。
アサヒ飲料は4月15日に「食事と一緒に十六茶W(ダブル)」を発売予定。トクホの先駆者である花王も「ヘルシアコーヒー」を3月6日にリニューアルした。「脂肪を消費しやすい特徴を生かしながら、消費者の声に合わせて味を改良した」(開発リーダーの近藤めぐみ氏)。
サントリー食品インターナショナルは昨年10月発売の「伊右衛門 特茶」、今年1月発売の「ボス グリーン」などの宣伝を年明けから強化している。2014年12月期のトクホ飲料の販売数量を前期比1.5倍の2530万ケースにする計画だ。
「メッツ・コーラ」が火付け役
トクホは1991年に制度が始まり、市場は右肩上がりで成長してきたが、09年に花王のトクホ商品、食用油「エコナ」に発がん性物質に変わる可能性のある成分が含まれていると判明。消費者離れが起こり、メーカーの開発も停滞した。
11年度の市場規模は5175億円と、ピークだった07年度から2割超も落ち込んだ(図)。ただ、「足元では企業の開発意欲が戻り、回復傾向にある」(日本健康・栄養食品協会の矢吹昭・特定保健用食品部長)。
きっかけとなったのが、12年にキリンビバレッジが発売した「メッツコーラ」だ。コーラ飲料初のトクホで、脂肪の吸収を抑える効果がある。「それまで健康を気にしてコーラを飲まなくなっていた成人男性に照準を合わせた」(チームリーダーの中田康陽氏)ことがヒットにつながり、発売初年度に当初目標の6倍以上となる600万ケースを販売した。