サプリ、トクホの嘘と本当 爆発する1兆7000億円市場に死角はないのか

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体脂肪を減らしたい、階段を楽に上り下りしたい、血糖値を下げたい……。

さまざまな期待からサプリメントを中心とした健康食品を手放せない人が増えている。内閣府消費者委員会が昨年実施した調査では、約6割の消費者が現在利用中であり、50代以上の約3割がほぼ毎日利用しているという結果となった。また市場調査会社インテージの調査では、年齢が上がるほど併用数が増え、日常的に5種類以上を併用している人も少なくない。

グルコサミンやコラーゲン、ヒアルロン酸など多様な種類のサプリがインターネット通販で売られているほか、100円ショップなどでも取り扱いが増えている。

裾野も拡大しており、モノを言わない犬猫などペット用ばかりか、子供向けサプリまで登場。国立健康・栄養研究所が2010年にまとめた調査結果によると、就学前幼児の15%にサプリの利用経験があるという結果も出ている。

サプリとともに健康食品と呼ばれる特定保健用食品(トクホ)も、最近ではサントリー食品インターナショナルの「特茶」や花王の「ヘルシアコーヒー」などがヒットを飛ばしており、消費者の健康意識の高さがうかがえる。昨年は1991年のトクホ制度創設以来20年越しで累計1000品目の大台を突破した。

今やサプリ、トクホを含む健康食品の市場規模は1兆7000億円以上に膨らんでおり、巨大な産業になっている。

だが、産業としては発展途上なままだ。トクホは国の制度によって個別製品ごとに審査して許可されたものである一方、サプリについては、特別な許可も届け出もいらない。錠剤やカプセル、粉末など医薬品を連想させるものをサプリと呼ぶ風潮があるものの、明確な定義はなく、便宜上「いわゆる健康食品」としてまとめられている。

サプリも、一定の規格基準を満たせば、「栄養機能食品」と呼ぶことができるが、ビタミンとミネラルの計17成分に限られている。ほとんどのサプリがそれ以外だ。

次ページ医薬品と食品に区分 実態と乖離するサプリ
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