もちろん、すべてをオンラインで解決することはできません。オフラインを織り交ぜたハイブリッドワークを続けていくのが望ましいと考えています。
メルカリが目指すこれからの働き方
──新しい施策を決める際に、社員の皆さんへの理解促進はどのように行いましたか?
メルカリは、ボトムアップのカルチャーで、施策を考える際は、まずは社員の声を聞くことを重要視しています。
「YOUR CHOICE」へ移行する際にも、1年ほどの時間をかけて、試験運用しながら社員と対話を重ねました。私たちは、これを「オープンドア」と表現しています。
「今度、新しい働き方に関する取り組みについてオープンドアを行います」という内容を、全社員に「Slack」で共有します。いろんな質問や意見が上がってきますので、それらをつぶさに捉えて、何度も対話をくり返していきます。
意見が衝突することがあっても、施策が決定してからではなく、試験運用の段階で起こるようにしているわけです。社員も一緒に考える時間ができますし、その過程を通して会社が目指す方向性に対する理解度や、納得度も高まります。
──今後の展望をお聞かせください。
今後は、自由な働き方の「選択」に伴う「責任」の部分を、いかにして組織に浸透させていくのかという課題があると考えています。
また、企業も一市民として考え、地域社会への社会的貢献を奨励するカルチャーを醸成するなど、やるべきことはまだまだあると感じますね。
ただ、こういったことは変遷があるものだとも考えています。今のメルカリのカルチャーも、決して完成形ではないのです。
メルカリが目指すものは、今までの働き方、今までの企業文化、今までの人事の教科書に書いてあるようなマネジメントではありません。
今回トライしている「YOUR CHOICE」のような進取の施策を考え、それが受け入れられるにはどんなカルチャーを育まなければならないのか、サポートする組織のシステムとしてはなにを考えなければならないのか。
こういったことに取り組み続け、社会に対しては先進事例として打ち出していきたいですね。『リデザイン・ワーク 新しい働き方』にも地域コミュニティーと働く人とのかかわり方を考えることの重要性が語られています。それは、私たちにとっても価値あることですし、社会に対しても問題提起になりうると思います。これからも、社会を変える、1つの小さな波紋を起こしていきたいと考えています。
(構成:泉美木蘭)
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