フランス人にとって「お酒を飲む時間」が大事な訳 お酒だけでなく、人との時間が愛おしい

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パリなどの大都市ではピクニックをしながらアペロをすることも。歩行者天国となったセーヌ川沿いでは、川辺に座ってボトルを囲む小さなグループをよく見かけます。川沿いでのアペロは特に学生に人気です。また、パンテオンの周りには「ピクニック・アペロ」にも使える大きなテーブルがあり、さまざまな世代の人たちが集まってお酒を楽しんでおり、新しい出会いの場にもなっています。

フランス人にとってアペロといえばワインですが、最近はワインを飲む人も品質にこだわるようになってきました。フランスワインの品質自体も向上しており、以前よりずっといいものが日常的に飲めるようになりました。

フランスには、世界的に有名な高品質のワインを生産する地域がたくさんあります。ボルドーはメドック、サンテミリオン、ポムロール、ソーテルヌなど、ブルゴーニュ、アルザス、ロワール、ラングドック、プロヴァンス、ジュラ、そしてもちろん有名なシャンパーニュは、フランスや世界のあらゆるお祝いの席で、特別な食前酒としてよく飲まれます。

日本産のワインの質も格段に向上している

日本でも日常的にワインが親しまれるようになりましたね。私が来日した当時は、ワインを飲んでいる人はほとんどいませんでした。ボジョレー・ヌーボーを除けば……。NHKで「フランス語会話」という番組をやっていた頃、東京では手に入らないので、日本に帰るときには必ずフランスからワインとチーズを持って帰っていたのを覚えています。

それが、1995年に田崎真也氏が世界一のソムリエに選ばれてから、日本でのワイン人気は一気に高まり、日本産の質も格段に向上しています。今では、私が飲んだワインの中で一番美味しかったのは日本産だと言えるほどです。特に女性は、ワインやその歴史、生産について、より深い知識を持つようになっています。

2002年から教えているアカデミー・デュ・ヴァンでは、プロ・アマを問わず、たくさんの素晴らしい専門家に出会いました……。15年の間になんという変化でしょう。この間何が変わったかというと、専門家であろうとなかろうと、楽しく飲むことが一番大切だということが広まったことではないでしょうか。

国が若者に飲酒を促すのは確かに不思議ではありますが、飲みたい人が、楽しく飲める、という環境を作るのは重要だと考えています。

ドラ・トーザン 国際ジャーナリスト、エッセイスト

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Dora Tauzin

フランス・パリ生まれの生粋のパリジェンヌ。ソルボンヌ大学、パリ政治学院卒業。国連本部広報部に勤務ののち、NHKテレビ『フランス語会話』に出演。日本とフランスの懸け橋として、新聞・雑誌への執筆、テレビ・ラジオのコメンテーター、講演会など多方面で活躍。著書に『フランス式いつでもどこでも自分らしく』『パリジェンヌはいくつになっても人生を楽しむ』『好きなことだけで生きる』などがある。2015年、レジオン・ドヌール勲章を受章。公式ホームページはこちら、 Facebookはこちら

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