孤立に陥る高齢者ほど「詐欺被害」に遭いやすい 学歴が高く金融取引が得意な高齢男性は注意

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孤独・孤立に陥る人が増えた背景には中間層の消滅がある。内閣府の調査でも、非正規雇用で年収が低い人や未婚の人の孤独感が強かった。格差が広がり、経済は25年以上も停滞。年金だけでは暮らしていけず、先々に不安を覚える高齢者が増えている。

そうした高齢者たちが自然と集まれる場所が必要なのだが、「孤独防止センター」といった看板なら、人は寄りつかない。だから無料入浴施設のような、自然と人が集まる場が貴重なのだ。

狙われる認知症高齢者

孤独・孤立に陥っている高齢者ほど詐欺被害に遭いやすいという調査研究もある。

個人が保有する金融資産残高は約2000兆円。うち75歳以上が600兆円、全体の30%以上を占める。今後、懸念されるのは認知機能が低下した高齢者の増加だ。

高齢になると自身の認知機能の低下を自身では認識できなくなり、他人の指摘よりも自身の判断力や金融リテラシーを過大評価する「自信過剰バイアス」が強まる。男性で、学歴が高く、金融取引の経験がある人ほど陥りやすい。

認知機能が落ちているのに「俺は得意だぞ」という意識だけはしっかり残ってしまうからだ。詐欺集団がターゲットにするのは、まさにこのような高齢者である。

どうやったら孤独感を解消できるかといった小手先の話ではなく、根本的な社会政策が必要なのだ。

野中 大樹 東洋経済 記者

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のなか だいき / Daiki Nonaka

熊本県生まれ。週刊誌記者を経て2018年に東洋経済新報社入社。週刊東洋経済編集部。

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