「つるとんたん」33年経っても人気が衰えないワケ 渋谷スクランブルスクエア店は連日大行列
食器も凝っており、例えばうどんの器は持ち上げられないほど巨大だ。
インスタグラムでの露出の多さは、とくに若者にとってポイントが高い。料理と器のデザイン性も、若い客層を惹きつける理由になっているのだろう。
加藤氏によると、これらの全体的なオペレーション品質を維持するため、ブランド立ち上げの時点で店舗数の限度を決めるという。
「店舗はオペレーションが命。しかし店舗というものは、オープン直後から劣化が始まっていくもの。オペレーション品質を維持するため、立ち上げ時に想定している規模感を守り、それ以上には広げないようにしている」(加藤氏)
この考え方を加藤氏は「ブランディング・スケール」と呼んでおり、グループが運営するすべての事業において貫いているそうだ。店舗を加藤氏自身が実際に見回り、オペレーションをチェックするほか、会員数20万人を数えるカスタマークラブからの声をもとにブラッシュアップするという。
創業者のデザインどおりに運営が行われている
以上、つるとんたんが長きにわたり集客力を維持できる理由について見てきた。まとめると、創業者である加藤氏のデザインどおりに運営が行われている、ということになるだろうか。
これは当たり前のようだが、その当たり前を実現するのは難しい。
いわゆる「行列のできる店」や、メディアで紹介される評判の店などに実際に行って、満足できることは案外少ない。キャパシティーを超えた結果、味やサービスが低下しがちだからだ。また店舗を急激に増やしたチェーンなどでオペレーションが回らなくなり、サービス品質が落ちることもよくある。
とくに接客はすべての印象を左右する。悪い対応を受けると、その店で使ったお金や時間、食事をともにした人との関係まで台無しにされたような思いになる。いったんそういう経験をした客は、二度とその店に行こうとは考えないだろう。
「店舗は劣化するもの」という考えのもと、スケールをあらかじめ決めた同社の方法は、なかなか理にかなっていると言えるだろう。またサービス品質の要となるのが人材だ。いかによい人材を集め、育成し、マネジメントできるか。すべての現場においての永遠の課題であり、経営者が自ら目をむけるべき重要なポイントだろう。
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