過剰処方?クスリを出す医者はいい医者か 薬を出されて安心していませんか?
「おばあちゃんの原宿」こと、東京都豊島区の巣鴨地蔵通り商店街には、流行のパンツ「赤パン」が店頭に並び、今日も元気なお年寄りが闊歩(かっぽ)していた。病気とは無縁なのだろうか?
「薬の世話にはならないよ。悪くなればお迎えが来た証拠。潔くなきゃね」
そう言って、70歳のおじいちゃんは元気に笑う。ただ、そんな猛者は少数派か。豊島区に住む75歳のおばあちゃんは、
「私は腰の痛み止めだけ。母が健在なんですけど、5~6種類の薬を飲んでますよ。知り合いが通う病院は『薬がまだ家にある』と説明しても、どんどん出すそうです」
多くのお年寄りが薬の世話になっているようだが、なぜ医師は飲みきれないほどの処方をするのか。製薬業界関係者は言う。
「薬を出さない医師に対しては、患者の風当たりが強いんです。とくに高齢者。『患者受け』狙いの処方です」
背景の一つには、お年寄りたちの「口コミ圧力」があるようだ。悪い噂が広がると、病院も困るのだろう。
一方、同じような風邪や胃腸炎でも、病院によって処方の量や種類が違うという経験もあるだろう。総合病院に勤務経験のある開業医は打ち明ける。
「患者が大病院に殺到しすぎるんです。早く納得して帰ってもらうため、仕方なく患者に薬を出しているような状況です」
患者が薬を求めている光景が浮かぶ。