幼少期と大人では初感染したときの症状は異なるものの、いずれの場合も、一度感染すると単純ヘルペスウイルスは体外に排出されず、神経に潜伏し続ける。
Ⅰ型は頭から顔面を走る三叉神経節に潜伏しやすく、ストレス、多忙、寝不足、風邪など、免疫機能が低下したタイミングでウイルスが再び活動し、口唇ヘルペスを発症する。これは「回帰発症」と呼ばれ、一度回帰発症すると、繰り返し発症する場合が多い。
ちなみに、水ぼうそう(水痘)や帯状疱疹を引き起こす「水痘・帯状疱疹ウイルス」もヘルペスウイルスの一種だ。初めて感染したときには、水ぼうそうとして発症し、単純ヘルペスウイルスと同様に一度感染すると神経に潜伏し続ける。そのウイルスが何らかのきっかけで再び活動すると、帯状疱疹を発症する(関連記事:【帯状疱疹】子育て世代で急増する意外な背景)。
水ぶくれができる前にチクチク等の違和感も
回帰発症の場合も初感染の場合も、治療は抗ウイルス薬を使用する。塗り薬(軟膏)と飲み薬があり、回帰発症で軽症の場合は塗り薬、初感染の場合や回帰発症で症状の範囲が広い中等症以上の場合は飲み薬を使用するのが基本だ。治療すれば1週間から10日程度で治る。
「抗ウイルス薬は、ウイルスの増殖を抑える作用があるので、できるだけ早く使用すると、重症化を防げます。活性化しているウイルスを殺すわけではありません。例えるなら、治りかけのかさぶたの状態になっている部分に塗ってもほとんど意味がない、ということです」(角田さん)
口唇ヘルペスは前駆症状といって、水ぶくれが出現する3~5日前にくちびるにチクチク、ピリピリ、ムズムズといった違和感が出ることがある。初めて回帰発症した人は、気づきにくい程度の症状だが、繰り返し発症している人は、違和感が出た時点で気づくことがある。
「繰り返し発症する人は、前駆症状に気づいた時点で治療を開始すると、水ぶくれができるのを防ぐことができます。できるだけ早く、皮膚科や口腔外科を受診しましょう」(角田さん)
繰り返す人は気軽に受診ができる、かかりつけ医がいると、早めに治療を開始しやすい。
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