仏で「コロナ後もリモートワーク加速」の納得理由 見えを張るよりも現実にしなやかに対応する

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フレックスオフィスは、アメリカ発の「WeWork(ウィーワーク)」が有名だが、フランスでは、もともと田舎志向が非常に強いという事情が普及を後押ししている。

フレックスオフィス市場は活況を呈しており、多くの企業が自社のオフィス面積を縮小するか、その準備中で、複数の調査でハイブリッドワーク導入が生産性の向上、オフィスの最適化、パフォーマンスの向上、職場での幸福度が増すことなどに大きく貢献していることが判明している。各従業員が自分の好きな場所、つまり、自宅や会社の提供するフレックスオフィスを利用する働き方は拡大する一方だ。

ウクライナ危機によってもたらされた電力不足や不動産価格高騰に対しても、フレックスオフィスは効果的と考えられている。政府が企業に対して打ち出している節電では、オフィス内の暖房温度の上限を18~19度に抑えることになっている。オフィス自体の面積がフレックスオフィス、ハイブリッドワークで大幅に削減され、水道光熱費やテナント料も下がれば企業には有益。3年以内にフランスでは、フレックスオフィスは標準的なものになると予想されている。

最近、再開発が進むパリ東郊外のヴァル・ド・フォントネー周辺に建てられるオフィスビル群は、徹底したDX(デジタルトランスフォーメーション)のための設備を備えた建物で、フレックスオフィスユースも意識したものだ。

この開発されたエリアの特徴は、高速道路や鉄道のアクセスのよさもあるが、周辺の地価が上がっていないことだ。理由はそもそもオフィスのそばに住む発想がフランス人にないだけでなく、リモートワークで出勤の機会も極端に減っていることから、近場に飲食店があったり、住んだりする必要がないからだ。

2025年までに週2日のリモートワークが定着と予測

2022年にコンサルティング会社のボストン コンサルティング グループと人事労務管理責任者全国協会(ANDRH)が行った調査によると、リモートワークは2025年までに平均して週2日間で安定するだろうとの予想が出た。これにはリモートが無理な業種も含まれており、可能な企業だけみれば週平均3~4日はリモートになると予想されている。

同調査で回答者の多くは、仕事の柔軟性を高めたいと回答している。実際、従業員の80%が柔軟な勤務時間を希望し、マネジャークラスの60%がハイブリッドワークこそ生産性を高めると考えているとされ、多くの経営者も導入に前向きだ。さらに調査ではオフィスマネジャーのオフィス使用率が42%以上も減少したことも明らかになった。

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