仏で「コロナ後もリモートワーク加速」の納得理由 見えを張るよりも現実にしなやかに対応する

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パリ市内の風景
フランスではコロナ感染が沈静化しても、リモートワークを続ける人が多い(写真:gandhi/PIXTA)

コロナ禍が始まって以来、リモートワークが普及した結果、すでにパリ脱出を決めたパリ市民は10万人を超えた。感染の沈静化で職場復帰が加速するとみられていたが、定住地を持たない、あるいは自然豊かな田舎暮らしをするデジタルノマド(遊牧民)と呼ばれる人間が増え続けている。

実際、筆者の周りにいるパリおよびその郊外に住んでいたフランス人は、この秋に半数以上がパリを去った。

友人の建築家夫婦はパリ郊外のベルサイユ市近くに1年前に自分たちで設計した床面積280㎡の家を完成させ、住んでいたが、夫婦がこの数年、夏の長期バカンスを過ごした西部ブルターニュ地方ヴァンヌの海沿いに引っ越した。

夫のポワリエ氏はヴァンヌに本部を置く建築マネジメント会社に転職し、妻はこれまで同様、パリの大手建設会社に勤めているが、出社は週2回だけで、後はヴァンヌの新居からリモートで働いている。パリの家は建てたときのコストの1.2倍で売れたという。今、住んでいるヴァンヌの家には約1200㎡の庭があり、徒歩7分で海岸まで行ける。

注目を集めるフレックスオフィスとハイブリッドワーク

パリの大手コンサルティング会社で財務担当のマネジャーだったリアス氏は、南フランスに9月に引っ越した。リモートワークが可能なうえ、ニースにある支社が準備したフレックスオフィスに1カ月に4~5回出社すればいいという。彼はパリ西郊の高級住宅地、ブローニュ・ビアンクールのアパートを維持し、南フランスではビーチまで徒歩5分の庭付きの一軒家に住み始めている。

フランスで今、注目を集めているのは、企業が従業員の用途に応じたスペースを提供する「フレックスオフィス」やオフィスと自宅などでのリモートワークを組み合わせて働く「ハイブリッドワーク」だ。

具体的には、従業員が自分で働く場(自宅や企業が確保しているスペースなど)を選び、事前に予約することでパーソナルスペースを確保し、インターネットからワークステーションを利用する。

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