3つめは「正解ばかりにこだわる『正解主義』」です。
環境変化によりビジネスモデルが大きく変化し、「個別性」の高いソリューションビジネスが重要になってくると、第一線で顧客の抱える課題を掘り起こし、その都度、「解」を導き出し、そのために「何をしなければならないか」を明示していかなければなりません。
「正解のある問題」について正解を導く「正解主義」ではなく、「正解のない事象」について、その都度、「私はこう思う」と自分の考えを明確にし、発信していく「自論」の力をつけることで「応用力」はどんどん身についていきます。
しかし、日本の学校では、「この問題はこれが正解である」という「正解主義の教育」が行われてきました。「正解のない問題」に対し「自論」を導き出す能力がないまま成人しても、いままでの企業のピラミッド組織では、とくに問題がなかったからです。
このように、正解ばかりにこだわった「正解主義」で、それ以上のことに関心がないままの人は、いつまでたっても「応用力」は身につかないのです。
「経験からの学び」は大切だけど…注意点は?
個別具体的な経験からの学びは大切ですが、「過度な一般化」により、「歪んだ認知」が形成され、それが個別具体の事例により再強化されることがあります。「過度な一般化」による歪んだ認知の再強化プロセスを、認知心理学で「認知バイアス」と呼びます。
「自分の考え」「仮説に合う都合のいい情報」「自分の思い込み」を正当化する情報を無意識に集め、記憶すると同時に、「異なる情報」は無意識に排除したり、軽視したりする。これが繰り返されることにより、歪んだ認知が再強化されていくのが「認知バイアス」です。
端的な例をあげれば、男女の違いについて、男性の視点で「男はルーズだが、女性は几帳面だ」と決めつける。その男性は、自分の知っている几帳面な女性だけを見て一般化しているのです。
経験から学ぶことは必要ですが、「自分の考え」「仮説に合う都合のいい情報」「自分の思い込み」を正当化することで物事を決めてばかりの人は、「応用力」が身につかず、狭い視野のままです。
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