仕事ができる人ほどハマる「意外な時間泥棒」の罠 意欲、優秀さ、情報、活発さが「あだ」になる
個人のレベルでは、これは欲求が青天井になる原因になり、達成感や充足感を慢性的に奪われる。組織のレベルでは、業務が果てしなく複雑になる。プロジェクトや基準やシステムや形式的な手続きが恐ろしく増え、『スター・トレック』の永遠に増殖する生物トリブルのように、どこまでも煩雑になり続ける。
つい最近まで2つでよかった書類の署名がいまや3つになり、じきに4つになるように。高度にマトリックス化した組織は、絡み合った蜘蛛の巣さながらに、人々をその中に閉じ込めて出られなくしてしまう。
時間泥棒への条件反射をやめる
時間泥棒は、わずかな報酬でターゲットを絶えず酩酊させ、立ち止まって考える力を奪う。有意義な仕事や創造的な洞察へ通じる出口があるのに、高速道路を降りられない。そして泥棒たちは、人間の大切な感受性にふたをする。この見せかけの上司に頭を下げて、汗水垂らしながら仕えているあいだ、私たちは冴えたアイデアも、周囲の人々のなにげない言葉に潜むイノベーションの原石もキャッチできずにいる。それに加えて、チームや企業がまるごと1つの泥棒に傾くときもある。
それぞれの泥棒に対して、私たちはたいてい意識せず反射的に応じている。そして、この問いを自分に向けることを忘れている。「これをするのは習慣だからか、個人的な満足からか、それとも、その選択が仕事の成果に違いを生むからだろうか?」
もしもあなたが、気づくと1カ月に9つものチームプロジェクトを計画していたら、立ち止まってこう言おう。「ああ、これは〈意欲〉の泥棒だ」。自動更新されるTodoリストとひっきりなしに格闘し、翻弄されている自分に気づいたら、少し落ち着いてこう言ってみよう。「ちょっと待って、これは〈優秀さ〉の泥棒だよね?」
泥棒がここにいる、と自分やだれかに声に出して言えたら、泥棒は弱って力を失う。そして少しずつ、泥棒を違った目で見られるようになる。久々に見つけた子ども時代のおもちゃが、小さく縮んだように見えて、じつのところ変わったのはあなた自身であるように。
(訳:三輪美矢子)
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