仕事ができる人ほどハマる「意外な時間泥棒」の罠 意欲、優秀さ、情報、活発さが「あだ」になる

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〈活発さ〉の信奉者は意外に多く、次の問いで測ると、ほかのどの泥棒よりも高い得点をあげる。

・仕事を急いで終わらせたいほうか?

・つねにマルチタスクしているか?

・とても忙しいと感じることが多いか?

・仕事のあとはたいてい疲れきっているか?

人間は、かつての自分──やる気がなかった、甘えていた、目標もなくふらふらしていた ──を見返そうとがむしゃらに働くことがある。

停滞の記憶は後悔の記憶であり、ときに私たちは、失った時間を埋め合わせるために忙しさへと邁進するのだ。

快楽のランニングマシンから降りる

このように、4つの時間泥棒にはそれぞれ二面性がある。一方で、自分がとくに親しみを抱いている泥棒に関しては、その欠点が自分自身に当てはまらないと感じることがあるかもしれない。その泥棒を愛するあまりに、マイナス面が見えなくなっているのだ。

そもそも私たちが泥棒に時間をつぎ込むのは、それが快感を与えてくれるからである。少し冷静になって考えてみよう。その泥棒のどんなところを「楽しい」と感じるだろうか? それこそが、この泥棒があなたにとって危険な理由だ。

4つの時間泥棒は、「ヘドニック・トレッドミル」(快楽のランニングマシン)という心理学的概念に沿って働いている。この概念は、前にも述べた「もっと」の価値体系に通じ、「人間はいまあるものに慣れてもっと欲しくなる」ことを説明している。「快楽順応」の別名のとおり、1つ進歩するたびに満足のレベルもまたリセットされるのだ。私たちは、もっとなし遂げ(意欲)、もっと秀で(優秀さ)、もっと知り(情報)、もっとやる(活発さ)とき、その新たな状態に慣れてすぐに物足りなさを覚えだす。ゴールに着いたと思うたびに、ゴールラインが動いてしまう。

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