和田秀樹「家族が認知症になったとき大切なこと」 認知症の介護で最も重要なのは「聞く力」

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認知症の人の機嫌をよくする最も簡単な方法は、話をさせることです。同じ話題でも、何度も話をさせてあげましょう。「そうだね」という相づちを多用しましょう。どんな話でも、まずは「そうだね」で受け止めてあげる。それだけで、認知症の人も話しやすくなります。ときには無理な要求をされることもあるでしょう。そのときは「そうだね……でもね」あるいは「うん……でもね」と返します。ポイントは受容です。

認知症の介護で一番必要になるのは「聞く力」です。本人がこれまでの人生の中で印象的だったことや、特別な思いをした経験など、本人が話したいと思っていることを推測しながら質問をしていきましょう。本人が答えられないような質問をすると、みじめな思いをさせるだけです。

機嫌よく話す話題を聞き手が覚えておく

もう一つのポイントは、会話の中で本人が機嫌よく話す話題があったら、それを聞き手の側が覚えておくことです。例えば、戦時中の話、あるいは子育てのときの話、働き盛りだったときの話などをしているときに機嫌がいいのなら、そんな話が出るように会話の流れを作っていくといいと思います。

例えば、父親が認知症になってしまった場合、バリバリのビジネスパーソンだったときの話をすると機嫌がよくなって、「高度成長期のころだったから毎年給料が上がって、ボーナスで家電や自動車を買えてうれしかった」というような話が出るかもしれません。そうであれば、その話を存分にさせてあげましょう。そして、敬意をもって話を聞いてあげましょう。いろいろな角度で質問すれば、さまざまな話が出てくるかもしれません。

その中でも、どの話題で一番機嫌がいいのかを覚えておくと、その後も本人の機嫌をとりやすくなります。ちなみに、私の母親は90歳を超えました。認知症になってもおかしくない年齢です。もし私が母親と昔話をするのなら、例えば私立の中学受験のことを尋ねるかもしれません。

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