これに対し、以下は千恵子さんの言葉です。ちょっと長くなりますが、引用させていただきます。
「先方のご両親とのパイプは、今もつながっています。その手も借りて急がずあわてず、娘たちの夫婦仲がこじれる前に、せめてレストランでたまには会食できる形に持っていきたいの。私たちが引き下がるだけでは、美徳でもなんでもないしね。
今は日韓両国が最悪な中だけれど、時流に乗って隣国への悪口を書いたり、発言することで生活している人たちに惑わされてはいけない。どちらの国にも善良な人と困った人がいるように、どちらの国の文化や風習にも見習うべき点とそうではない点がある。せっかく縁があって娘と結婚し、子供をもうけたのだから、両方のいいところを取り入れ、見習って倍の価値にして暮らさないと、意味がない。
結婚に反対しておられた継雄さんのご両親も、私たちを知り、娘を知ることでずいぶんと理解し、娘を大切にしてくださるようになった。最初から反対したまま私たちと会おうともなさらないお兄様やお姉様家族とは、関係が一歩も前進していないことと併せて考えると、彼もわかると思う。
娘と孫のもうひとつのルーツを、継雄さんが自然に大切に思えるように、私たちのルーツのことや今の社会にある日韓関係の歴史にまつわる誤解や偏見を、彼に曇りガラスをとおさず、素直な目で誠実に学ばせるのは私の役目だったのに、あまりにも娘夫婦が順調だったので、私が怠けていたことを反省しているの。
こんなことを話す人が、彼の周りにひとりもいなくて、そしてインターネットやメディアによって、憎悪に満ちた偏見だけがどんどん彼の耳に届くのだから、言ってみれば継雄さんもかわいそう。」
そんな会話で私たちは別れました。
今後、多くの家庭が直面する課題
今回のお話は、一見、日本社会のマイノリティである在日コリアン家庭の相談ごとに聞こえるかもしれません。しかし、今後日本がさらに国際化していき、国際結婚が当たりまえのように増えていく中で、多くの家庭が直面していく課題だと思い、本コラムで取り上げさせていただきました。
人を愛するということは、その人のルーツも含めて愛し尊重するということです。それを恥じるということは、愛する人、その家族、そして愛する人との間にできた我が子のルーツをも恥じるということであり、そんな人に、愛や結婚を語る資格はないと思います。最後にひと言、付け加えさせてください。
全国の恵美ちゃん継雄さん、ファイト!
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