在日コリアンの娘さん夫婦で起きたこと 相手のルーツを恥じるような愛は偽物

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継雄さんのご両親も年に一度はお招きし、千恵子さんは焼肉屋へも行ったことがないという、そのご両親の胃袋をしっかりつかんで、今ではお持ち帰りを所望され、娘を通じ、時にはわざわざお料理を作ってお届けする仲です。千恵子さんが母親から譲りうけた美しい朝鮮家具の品々にも、ご両親はすっかり魅せられたご様子だそうです。

また、恵美ちゃんは訪問看護士のバイトをしており、不規則に出勤します。千恵子さんは融通が利く勤務体系なので、いくらでもお孫さんを預かれるのですが、娘の恵美ちゃんには「まず近くにおられる姑さんに都合を聞きなさい。それで無理なときは自分が応援する」と教えました。孫が祖父母より自分たちに懐くことを望まず、娘と孫が先方の両親に気に入られるよう、彼女の助言は微に入り細に入りました。

その細かさに感心し笑ってしまいましたが、素直な恵美ちゃんはそのとおりにし、母子とも継雄さんの両親にとても可愛がられてきました。

さて、娘の婿である継雄さんですが、彼はずっと悩んでいたのかも知れません。恵美ちゃんに対してある日突然、「自分たちの子が日本人と韓国人のダブルだということを、子供に知らせないで育てたい」と言い出したのです。上の子が小学生になった昨年の春過ぎでした。

愛することは、その人の背景も尊重すること

いつものように千恵子さんの料理で楽しく過ごし、機嫌よく別れたあとだったので、千恵子さん夫婦と、恵美ちゃんにとっては晴天の霹靂事件です。これでは、朝鮮家具に囲まれて暮らす妻の実家にも連れていけないということで、それ以来、千恵子さん宅への、継雄さんの足はばったり途絶えました。

これに対し、千恵子さんは言います。

「娘の家族がうまくいくなら、私たちと絶縁し、私たちのルーツを隠して孫を育てようと一向に構わない。朝鮮家具を全部処分して、韓国料理を封印して我が家へ来るというなら、娘のためにそれもできる。でもそれは最終的に、孫のためにはならないと思うの」

今は継雄さんの出張中に、夫の目を盗むようにして娘と孫が来るそうですが、それもいつまで続くやら、と半ばあきれ顔でした。

私のアメリカ人の友人は、「黄色人種の韓国人や日本人と、白色人種の欧米人の結婚なら国際結婚だけど、日本で生まれ育った韓国人と日本人の結婚も国際結婚というの?戸籍上はそうかもしれないけれど、アメリカ人から見れば、それは国際結婚とは言わないよ」と言います。

なるほどなぁと思いました。日本人同士の結婚でも、風習や習慣がずいぶん違う理由で、摩擦が起きる場合があります。これはコリアン側にも言えることですが、前述のアメリカ人の表現を借りますと、この「国際結婚」を云々言うことは、針の穴をとおして晴天の空から雨雲を探すに等しい、バカげた論理ということになります。

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