イーロン・マスク率いる「スペースX快進撃」の理由 「何が凄かったのか」を野口聡一さんが解説
ですがそのときには、周囲の人にペットボトルをぶつけてしまったり、学校の外に飛び出して周囲の民家に落ちたりといったことがないよう配慮し、指導の先生の注意を守ることが必須ですね。同じように、宇宙へ行く衛星打ち上げロケットを飛ばす場合にも、国が指導役となってルール(法律)が定められています。
日本でこの法律は「宇宙活動法(人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律)」といい、多くの燃料を積んだロケットが長い距離を飛行する場合には、万が一の落下の際に地上に被害を出さないよう、ロケットが飛行してよい場所とコースを決め、法律にもとづいた審査を受ける必要があります。
「モデルロケット」という取り組み
学校の校庭から人工衛星を載せたロケットを飛ばしたいと思った場合、打ち上げの方法を定めた計画を提出して宇宙活動法の審査を受けることになるわけですが、通常の学校は大型のロケットを安全に取り扱い、落下の際にも安全なコースを設定することは難しいのではないでしょうか。ですから、「衛星打ち上げロケット」を校庭から飛ばすのはちょっと無理かもしれません。
ただし、ロケット技術を学び、新たなロケット技術者を育てる「モデルロケット」という取り組みがあります。大学や高校で行われるこの取り組みに参加すれば、衛星を搭載しない小型のロケットを、学校の管理する安全な場所で飛ばすことも可能です。
学校では難しくとも、民間企業が自社の敷地内に射場を持ち、衛星を搭載したロケットを打ち上げることは可能です。
これを米国で実現したのが、イーロン・マスク氏が率いる宇宙開発企業のスペースXです。
宇宙活動法と同じ種類の法律は世界各国で決められていて、米国はその先進国として宇宙開発に取り組む企業を法律面でも支援してきました。今年で設立から20年となるスペースXは、独自開発ロケット「ファルコン9」、「ファルコンヘビー」を1カ月に何回も打ち上げ、総数はこれまでで183回。さらに毎週の打ち上げを実現しようとペースを加速しています。なぜそれほど多くのロケットを飛ばせるのでしょうか?
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