深く考えずに奨学金を借りる学生が生まれる訳
千駄木雄大(以下、千駄木):メディアにおける「奨学金の専門家」という存在は、片手で数えるほどしかいないといっても過言ではありません。そんな中、今回は奨学金に関する情報をインターネット上で発信されているお2人にご登場いただきました。早速ですが、今の奨学金をめぐる状況については、どのような印象を受けられますか?
水戸康徳(以下、水戸):まず、大前提として今の大学生のおおよそ2.7人に1人が奨学金を借りており、給付を含めると2人に1人が利用している状況です。日本学生支援機構(JASSO)が2017年に給付型奨学金を始めたことで貸与型を利用する割合は近年やや低下していますが、中期で見ると「2人に1人が借りている」と言って過言ではなく、また奨学金を利用する人の割合が年々増え続けてきているのも事実です。
千駄木:「大学全入時代」とは言われていますが、もはや大学生の半分は奨学生なのですね。ただ、その分、学生たちの間で、将来の奨学金の返済の苦労なども伝わっているのでしょうか?
水戸:現状では日本全国の学生たちが全員理解しているわけではなく、まだ一部の学生に限られています。ただ、奨学金を「正しく認識している学生」は少ないですが、「正しく認識したい学生」は非常に多く、その数は年々増えている印象です。
しかし、奨学金制度について詳しく教えられる「奨学金制度について理解している存在」というのが、学生たちの周囲にはいないのが現実です。その結果なのか、例えば「給付型の奨学金って、返済不要なんですか? どんな形でも、奨学金に返済義務はあるのだと思っていました」という声も、いまだに聞かれますね。
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