奨学金「深く考えず借りる学生」が減らぬ根本原因 構造的な問題が「現場任せ」「学生任せ」を生む

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千駄木:結果、「深く考えずに奨学金を借りる学生」が生まれ、自己責任の名のもとにネットでたたかれてしまうと。

もちろん、今はネット社会なので自分から進んで学ぶことは大事ですが、大人たちがしっかりしていない状況で高校生・大学生に「しっかりしろ」と言うのはおかしい気もします。

ネットではイメージ最悪なJASSO、しかし実際に接してみると…

千駄木:でも、そういう意味だと、JASSOの職員も「現場の人間」ですよね。JASSOのサイトによると2022年4月1日現在で、職員数は547名。人材派遣会社などから派遣されて来ている人や委託先の従業員もいるはずなので、関わっている人数はさすがにもっと多いでしょうけど、約130万人もの現役学生、それをはるかに超える社会人返済者を相手にしていると考えると、やっぱり少ない。

水戸:彼らも多忙なんでしょうね、「1日中、電話をかけ続けてもつながらない」ということも過去にはありました。

千駄木:これは奨学金担当の大学職員しか知らないと思うのですが、JASSOの職員とはどういう人たちなのでしょうか?

水戸:私が実際にJASSOの職員とやり取りするのは、学生たちの奨学金手続きの書類をまとめて送るときとか、送付後に不備や疑問点が発生した際に、向こうから連絡が来るときぐらいです。だから、それぞれどんな人がいるのかはまったくわかりませんが、確実に言えるのは、みなさんつねに一生懸命で責任感が強い方が多いということです。

千駄木:インターネット上ではすこぶるイメージが悪いJASSOですが、職員1人ひとりは熱心なんですね。

水戸:私でもわからない特殊な書類の手続きがあった際でも、JASSOの職員は誠実に調べてくれましたし、本来であれば「書類不備です」の業務的な一言で済ませられるようなことでも、「いただいた書類に記載されている親の年収は〇〇ですが、〇〇のパターンに該当するかもしれない」と、書き直しのアドバイスをしてくれたこともありました。その結果、私だけでなく、学生も助けられたんですよね。

千駄木:お役所的な対応ではなくて、ちゃんと制度を理解したうえで、親身になってくれている……。でも、JASSOもいいところばかりではないんですよね?(笑)

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