そうした理由もあって、大人気の補正下着メーカーであるスパンクスの創立者兼CEOサラ・ブレイクリーは、できるだけ自分のミスを公表することにしている。
定例の全社会議(通称「ポカミス・ミーティング」)において、ブレイクリーは最近の自分のミスを告白すると、突然、みんなの前で踊り出す(何も知らない新入社員たちは、びっくり仰天)。しかも毎回、しくじりの内容にぴったりの曲を選んで、「みんなで踊ろう」と声をかける。
たとえば、ある商品分野からもっと早く撤退すべきところを、戦略を誤ったとき、彼女が選んだ曲は「ミスター・ロボット」だった。本人いわく、「すごくいい曲なんだけど、とにかく長すぎる」から。
小さなヘマから戦略上の大きなミスまで、「どんな失敗についてもユーモアを見いだして、面白おかしく話すんです。話が終わると、会社のみんなが声援を送ってくれるんですよ」とブレイクリーは語る。
ユーモアを使うことで、自分自身や会社の失敗を重苦しくない方法で認めやすくなるのだ。そうすると従業員たちも、大きなリスクを取ってみようかと思うようになる。
ブレイクリーはこう語っている。「失敗を恐れる気持ちから、会社のみんなを解放したいんです。恐怖にとらわれなければ、いいことが起こります」
失敗を喜劇としてとらえることの利点
自分の失敗を喜劇のレンズを通して眺める習慣は、私たちの心理状態に有意義な影響をもたらす。
スタンフォード大学の最近の研究では、前向きな話であれ、否定的な話であれ、自分の人生のできごとを(悲劇や修羅場としてではなく、むしろ)喜劇としてとらえる人たちは、心理的なストレスが少なく、エネルギッシュで、果敢で、充実していることがわかっている。