生産性の高い組織が「どんちゃん騒ぎ」をする理由 遊び心のある文化はチームに何をもたらすのか

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キャットマルは、このような大成功はピクサーで働く人びとの仲間意識とレジリエンスのおかげによるところが大きいと考えており、それこそ彼らが築き上げた笑いに満ちた文化(カルチャー)の産物でもあった。

キャットマルが述べているとおり、「ユーモアと陽気さにあふれた楽しい時間をともに過ごすことで、人間関係が深まって、大変なときに互いを頼りやすくなる」のだ。

つまり、企業文化に如実な影響が表れたのだ。

カルチャーを築く方法は1つではない

従業員たちが楽しみながら最高の仕事をできるカルチャーが望ましいというのは、当然のように思える。それなのに、なぜ多くの職場は映画『リストラ・マン』に出てくる職場そのものなのだろう?

もしあなたの職場もそうなら、この章は、あなたのためのものだ。あなたの職場でユーモアと陽気さのカルチャーを築くのに役立つストーリーや、フレームワークや、コツを紹介していく。

ただし、こうしたテクニックは万能ではないことは、あらかじめ断っておきたい。

注目を浴びるのが大好きで、会社のカルチャーを自分好みに引き寄せたい人もいれば、カリスマ性のある同僚に一役買ってもらったり、オフィス空間を物理的に変化させたりするなど、間接的な方法でカルチャーを変えていくほうが好きな人もいる。

リーシーズのチョコ菓子の食べ方と同じで、カルチャーを築く方法にもいろいろあるのだ。

あなたのミッションは、それぞれの原則や戦術を自分らしいリーダーシップのスタイルや、自分の組織の状況に当てはめ、いちばんしっくりくるものを選ぶことだ。

そうやって取り組んでいくうちに、チームの絆が強まって、最高の仕事をする力が引き出されるだけでなく、みんなが積極的に働きたくなる環境をつくることができる。

(翻訳:神崎朗子)

ジェニファー・アーカー スタンフォード大学ビジネススクール教授、行動心理学者

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Dr. Jennifer Aaker

スタンフォード大学ビジネススクールのゼネラル・アトランティック・プロフェッサーで行動心理学者。目的と意義が個人の選択に及ぼす影響や、テクノロジーが人間の幸福や企業の成長にプラスの影響をもたらす可能性に関する研究の第一人者。博士の研究は『エコノミスト』『ニューヨーク・タイムズ』『ウォールストリート・ジャーナル』『アトランティック』『サイエンス』などの主要紙誌でも紹介されている。Distinguished Scientific Achievement Award(科学部門顕著業績賞)、MBA年間最優秀教授賞などを受賞。

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ナオミ・バグドナス スタンフォード大学ビジネススクール講師、エグゼクティブ・コーチ

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Naomi Bagdonas

スタンフォード大学ビジネススクール講師、エグゼクティブ・コーチ。組織のリーダーやフォーチュン100社、非営利組織などに向けたインタラクティブなセッションを促進し、エグゼクティブやセレブリティが『サタデー・ナイト・ライブ』や『トゥデイ』等の番組に出演する際の指導も行っている。〈アップライト・シチズンズ・ブリゲード・シアター〉で正式なトレーニングを受けたバグドナスは、劇場の舞台に立ってコメディーを実演し、サンフランシスコ郡刑務所では、レジリエンスを高めるための即興コメディーを教えている。

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