核を使ってもプーチンの「目標」達成は無理筋な訳 戦術核は「使えない兵器」が西側専門家の結論

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ロシアは戦術核兵器を使用するのか(写真:Bloomberg)

ウクライナの標的に向けて戦術核兵器を発射すると脅しているロシアのウラジーミル・プーチン大統領だが、今になって彼はアメリカが何年も前に達したのと同じ結論にたどり着きつつあるのではないか――。アメリカ政府関係者はそうにらんでいる。その結論とは、小型の核兵器は敵に恐怖を与え威嚇する武器としては優れていても、使用は難しく、制御も困難で、とても戦闘用の武器にはならない、というものだ。

要するに、プーチン氏の脅しについて分析を試みているアメリカ政府内外のアナリストたちは、この種の兵器がプーチン氏の目標達成にどの程度効果があるのか疑問視しているわけである。

瀬戸際に追い詰められたプーチン氏にとって戦術核兵器の最大の効果は、ウクライナの一部を人間の住めない場所に変えると脅すことで、ウクライナの反攻を止めることにある、と多くのアメリカ政府関係者は口をそろえる。これら政府関係者は匿名を条件に、政府内で行われている機微な議論の一端を明かした。

放射性物質はロシアにも降り注ぐ

ロシアの戦術核使用については、さまざまなシナリオが考えられる。ウクライナ国内に置いた大砲から幅6インチの砲弾を発射する可能性のほか、ロシア側から国境をまたいで0.5トン級の弾頭を搭載したミサイルを撃ち込んでくる可能性もある。標的はウクライナの軍事基地かもしれないし、小さな町かもしれない。

破壊規模がどの程度となり、放射性物質がどれくらい残留するかは、兵器の規模や風向きなどで変わってくる。しかし、たとえ小規模な核爆発であったとしても、何千という死者が出て、標的とされた基地周辺や市街地は何年にもわたり人間の住めない場所になる可能性がある。

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