永野芽郁、「うるせぇ、クソが」とぼやく役を演じて 「マイ・ブロークン・マリコ」で見せた新境地

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(撮影:長田慶)

役を演じる自分と、本来の自分。幼少期から長く芸能活動をしてきた永野にとって、2つを意識的に切り替え、素の自分に戻る時間は重要なのかもしれない。

そんな永野が、女優業を通じて最高に高揚感を感じる瞬間は、どんなときなのか。

「制作過程で感じるときや、先輩の演技に対して感動するときなどがそうです。自分自身が、難しいセリフを言いながらも思いが溢れるお芝居が自然にできたときも、『今日まで演技を頑張ってよかったな』と素直に思えます。だけど、一番の喜びと表現するのなら、「やっぱり完成した作品を、楽しみに待ってくれている人たちに届けられたときは達成感と嬉しさがありますね」

「うるせぇ、クソが」と言う主人公を演じて

『マイ・ブロークン・マリコ』は、2019年にオンラインコミック「COMIC BRIDGE」で連載された際には、 毎話SNSでトレンド入りしたほどの話題作だ。翌年に出版された単行本(全1巻)では即重版が決定するなど、大きな反響を呼んだ。各漫画賞も受賞、世界10カ国語で翻訳され出版されている。

永野が演じるのは、鬱屈した日々を送る OL・シイノトモヨ。トモヨは、テレビのニュースで親友・イカガワマリコが亡くなったことを知る。突然の出来事にうろたえるシイノは、自分ができることを考えた末、マリコの遺骨を強奪することにする。あんたの遺骨は、あたしが連れてく――。彼女の遺骨を抱いて逃避行するという物語だ。

劇中では、ガニマタでタバコを吸い、パワハラ上司に「うるせぇ、クソが」とぼやく。永野のこれまでの清純派のイメージとはかけ離れた役柄だ。

(撮影:長田慶)

「世間の皆さんが抱く私へのイメージとはきっと全然違います。そこに挑戦するからには、こんな姿もあるんだって絶対に思わせたかったんです。でも、『マイ・ブロークン・マリコ』の原作を読んだら、その世界観に圧倒されて。自分が演じることで作品をぶち壊してしまう怖さがありました」

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