今のインフレを見誤る人が知らない「4つの要因」 「原油価格の上昇」だけでは到底、説明できない

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天然ガスは産地によって価格が大幅に異なるため、各地の価格を平均した相対値で示しています。天然ガスも原油と同様、2021年から値上がりが激しくなっており、コロナ危機前と比較すると、すでに3倍以上になりました。

天然ガスの価格が高騰している背景には、脱炭素の流れがあります。各国は地球温暖化に対応するため、経済の脱炭素化を進めてきました。しかし、大半のエネルギーを再生可能エネルギーで賄うには相応の時間がかかりますから、同じ化石燃料でも二酸化炭素の排出量が少ない天然ガスへのシフトを急ピッチで進めました。そのため、天然ガスの需要が増大し、価格が跳ね上がったのです。

エネルギー価格と食料価格が連動する仕組み

エネルギー価格が上昇すると、たいていの場合、食料価格も上昇します。穀物の生産には相応のエネルギーが必要ですし、輸送にもエネルギーを消費します。たとえば、原油価格が高騰すると貨物船の運航コストが上昇するため、運賃が跳ね上がり、穀類の価格も上がってしまうのです。

肉類も同様です。牛や鶏を育てる飼料の多くはとうもろこしなど穀類から作られています。牛肉1kgを生産するために必要な飼料は10kgを超えると言われており、畜産農家は大量の飼料を購入しなければなりません。結局のところ、エネルギー価格が上がれば穀類の価格が上がり、穀類の価格が上がれば肉類の価格も上がるという図式で、エネルギー価格と食料価格はほぼ同時に値上がりするケースが大半です。

今回も原油価格の上昇とほぼ同じタイミングで小麦や食用油の価格が上昇しました。それ以外の品目も似たようなものであり、食品については、大半の品目で価格が上がったと考えて差し支えありません。では、なぜ原油価格や食料価格がここまで激しく上昇しているのでしょうか。

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