ノーベル賞受賞の理論で「待機児童問題」を解決へ 「希望通りの園に行かせたい」親の希望叶える

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東京大学マーケットデザインセンター・センター長の小島武仁氏は「経済学の新興分野である『マッチング理論』によって、待機児童問題など、日本で生じている数々の社会問題を解決していける」と語る(写真:sammy_55/PIXTA)
2012年のノーベル経済学賞受賞者アルヴィン・ロス氏とともに、多数の研究成果を発表してきた小島武仁氏。現在、東京大学マーケットデザインセンターでセンター長を務める小島氏は、「経済学の新興分野である『マッチング理論』によって、待機児童問題など、日本で生じている数々の社会問題を解決していける」と語る。小島氏の最新刊『天才たちの未来予測図』より、「マッチング理論の社会実装」が今後の日本社会にもたらすインパクトについて紹介する。

私は、経済学では新興の分野の「マーケットデザイン」を研究しています。マーケットデザインとは、世の中の「資源」や「人」を最適な形で配分するために、社会制度をどう設計していけばいいかを考えていく、というものです。

その中でも特に専門は「マッチング理論」です。これは、人と人、人とモノを最適に組み合わせる仕組みを研究する学問です。理論にとどまらず、現実社会に応用していくことで社会問題を解決に導けるというのが、この学問の大きな特徴です。

問題の多くはマッチングが関係する

私は「世の中で生じる問題の多くはマッチングがうまくいっていない」ことによるものだと思っています。マッチング理論には、社会をよりよい方向に変えていく力があるのです。

日本は「資本主義社会」だと多くの人が認識していると思います。市場の「見えざる手」に任せ、お金を潤滑油にして経済を回し、社会全体に利益をもたらしていくというのは、資本主義の重要で役に立つ仕組みです。

東京大学マーケットデザインセンター・センター長の小島武仁氏

しかし実は、法律の規制や社会通念上の縛りによって、市場の自由にすべて任せるという古典的自由主義を採用していない社会制度も多くあるのです。

たとえば保育園。日本では、市場の自由に任せて、多くのお金を払える人から行きたい保育園に行けるという仕組みにはなっていませんし、それは道義的に許されない。日本の保育園は(自由放任という狭い意味での)資本主義とはすごくかけ離れた世界で、認可保育園に行くと基本的に無料だったり安かったりする。お金をいっぱい払える人が一番行きたい保育園に行けるという世界になっていないわけです。

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