誰でもできる「ネガティブに支配されない」思考法 小児精神科医が提唱、新しい心理的アプローチ

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ハーバード大学医学部助教授で小児精神科医の内田舞さんは、現代人は不安や恐怖といった感情に支配されやすくなっていると警鐘を鳴らす(写真:Ushico/PIXTA)
日本人史上最年少でアメリカ臨床医となり、現在はハーバード大学医学部助教授を務める内田舞氏は「コロナ禍により、現代人は不安や恐怖といった感情に支配されやすくなっている」と警鐘を鳴らす。それでは、私たちはどうやってネガティブな感情と付き合っていけばいいのか。内田氏の最新刊『天才たちの未来予測図』より、最新脳科学にもとづいた「感情の整え方」を紹介する。

私たちの感情は、生存のために必要となる、とっさの行動やとっさの判断のために、進化の過程でつくられたものだと考えられています。

クマに遭遇したときに恐怖を感じたり、食べ物を食べたときに幸せを感じたりなど、あれこれ論理的な思考で分析をする前に、生存にとって好ましい状況か好ましくない状況かを評価し、無意識に生存につながる行動を私たちに促すようになっている。

その仕組み上、「生存のために」無意識的に、即時的に感情が湧き上がってきます。生存を最優先にするように進化してきた私たちにとって、感情の威力は絶大なわけです。

コロナ禍でメンタル危機に

洞窟に住み、狩猟をしていた頃の人間であれば、感情による生存戦略は機能していたと思いますが、現代の私たちは日常の中で、生存を脅かされるほどの危機に遭遇することはほとんどありません。

しかし、現代ではめずらしく、新型コロナが蔓延している現在の状況は、(クマに遭遇するという状況ほどではありませんが)私たちの生存に危機が生じているといえます。

ハーバード大学医学部助教授・内田舞氏(写真:Vail Fucci)

私たちはコロナ禍で、かなり長期的に扁桃体の発火が続き、不安や恐怖を感じている状況なのだと考えられます。生存のためになんとか情報を集めようとして、ネット上の記事や動画、SNSの内容を信じ込んでしまったり、周りにシェアしてしまったりしているのが、科学的に正しくない情報が溢れている一因となっていると思います。

私たちは生存優先の状態に陥っているとき、その場の短期的な危機をしのぐためにとっさの判断ができても、長期的な判断をするための思考力が鈍っている、という研究の結果もあります。つまり、コロナ禍を生きる私たちはネガティブな感情に支配されやすいといえるのです。

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