日本再上陸「フォーエバー21」の驚くべき大変身 使い捨て代表から環境配慮型ブランドに変貌
もっとも注目すべきは、8割の商品がアダストリアの生産背景を活用した日本企画というところで、破綻前のすべてを輸入に頼っていたビジネスモデルとは正反対であることがわかる。商品単価も以前の倍以上のはずで、ユニクロやジーユーより少し高い単価を想定しているという。
初年度は13億円、5年後の28年2月期は100億円という売上目標もいささか控え目で、店舗は年間3店舗を目安にショッピングセンターに出店し、以前のような原宿や銀座などの一等地への大型店の出店は考えていないとしている。となると、5年後の店舗数は15店舗ほどで、それだけで100億円は到底望めないので、売上の6〜7割ほどをECで稼ぐビジネスモデルを想定しているのだろう。
ゼロからブランドを立ち上げて5年で100億円規模のビジネスを作り上げるのは今の日本ではもう難しいので、知名度のあるブランドの名を借りて日本独自のビジネスを築く……そんな思惑が伊藤忠商事、アダストリアにはあるのではないだろうか。
1980〜90年代に花盛りだった欧米のブランドのライセンスを幅広いジャンルに広げていく(ハンカチとか傘とか)商社お得意のビジネスモデルではない、新しい形のライセンスビジネスと言えるのかもしれない。
利益率の高いブランドに育てる?
2022年2月期のアダストリアの国内EC売上高は、前期比6.8%増の574億円。日本のファッション企業としてはユニクロに次ぐ、ベイクルーズと2位の座を争う規模まで成長している。
同社の主力ブランドであるグローバルワークは直営店を2022年2月期時点で206店舗、ニコアンドは144店舗、ローリーズファームは134店舗、スタディオクリップは183店舗を構えるが、そうしたブランドとは違いフォーエバー21はEC中心の利益率の高いブランドに育てたい意向なのだろう。
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