日本再上陸「フォーエバー21」の驚くべき大変身 使い捨て代表から環境配慮型ブランドに変貌

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あくまで個人的な見解だが、2008年のH&M、2009年のフォーエバー21の日本上陸は、それまでの日本の戦後の若者ファッションの流れを大きく変えたと思っている。急成長を続けてきたユニクロの安くて長持ちする服の流れに、そこそこ旬で安い “外資”が加わり、市場に安くて長持ちしない安易な服が溢れた。

1990年代までの日本の若者はお小遣いの多くを憧れのブランド服に投資し、一生懸命背伸びしてきた。1990年代後半からのギャル、ギャル男ブームを牽引した109系ブランドの流行で単価こそ下がったものの、それでも2000年代後半までは食事を抜いてでも憧れのブランドの服を買う若者が多くいた。

その流れを大きく変えたのがこの2つの外資の上陸で、以降は高価かつ個性的なファッションはサブカルチャーへと転落し、ストリートを拠点とする若者たちの“族”も街から姿を消した。

もちろん、全身を1万円以内で揃えられるファストファッションが若者のファッションの入り口となった面もあるし、他の先進国と同様に若者がファッションにお金をかけすぎなくなった=グローバル化した面もあるが、いずれにせよ“ファスト黒船”の上陸によって日本の若者のファッションの価値観がガラリと変わったのは間違いない。

商品の8割は日本で企画

では、ブランドイメージが決して良くないはずのフォーエバー21を、なぜ伊藤忠商事とアダストリアは再上陸させることにしたのだろうか。「新フォーエバー21」の概要はこうだ。

初年度は、婦人服と服飾雑貨に絞り、主要顧客層は10〜30代前半と撤退前に比べて幅広い年代に設定。商品の8割はアダストリアによる日本企画で、残りの2割はアメリカで企画された商品を販売する。平均商品単価は4000円、客単価は5800円を想定しているという。

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