定年を迎える、というのはあくまでも個人的な事情であり、その事実によって大きな仕事がいきなりできるようになったり、いきなり職業上の能力が向上するわけではありません。
ご自身の持っている職業上のスキルというのは、あくまでも今までの積み重ねのうえに成り立っているものであり、定年までのタイムリミットが決まった瞬間に飛躍的に何かが変わるわけではありません。
したがって、ここは変に大きな成果を残す、という考え方をするのではなく、「長年勤務してきた」ということ自体が大きな実績である、という事実にまずは目を向けましょう。
長期間勤務をしていれば、つらいことも悲しいことも、逃げ出したくなったこともあるとは思います。それにも負けずに、成し遂げた、ということは大きな成果であると誇ってよいことです。したがって、ここから下手に大きな仕事上の成果を狙うよりも、「確実に勤め上げる」ことを優先し、そのことに価値を見出しましょう。
「家族から感謝されたい」は正しいのか
そして、もっと大切なことをもう1つ。
MTさんのコメントに、「家族から感謝されたい」とありますが、そのマインドをそもそも変える必要があります。
といいますのも、定年後は仕事中心ではなく、家庭中心となる可能性が高いですから、よりよい人間関係を家庭内において築くことが求められます。
本来は、現役の時代からそういった定年後マネジメントや定年後への布石をするべきなのですが、恐らくそういった行為がおざなりになっている方は多いものと思われます。
そのうえで申し上げますが、「家族から感謝されたい」だけではなく、「家族に感謝したい」というように、自分中心マインドからの脱却をお勧めします。
何故ならば、「家族から感謝されたい」の背景は、「長期間仕事をこなし、凄いことをやってきた自分は価値があるから、感謝してほしい」というマインドで、自己中心的のようにも見えます。
そうではなく、なぜ自分が長期間にわたって仕事に注力してこられたのか、を真摯に考える必要があります。ご自身が仕事中心でこられたのは、家族の支えがあったからこそだと思います。
仕事で不在がちなMTさんの代わりに、家事や育児・教育、近所や親戚関係を含め、一手に担ってきたのはどなたでしょうか?
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