てぃ先生「子がいないくせに」反論の正当性と矛盾 プロにプライベートの経験を問うのはアリなのか

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てぃ先生のケースで言えば、子供を預ける親たちも日ごろ仕事や育児に頑張っているでしょうし、もしかしたら何らかのプロフェッショナルかもしれません。そんな親たちを上から目線で見ている保育士がいるのなら、傲慢な気がします。「自分も相手も社会を構成する一人の人間」という対等な関係性のうえで、優れた仕事を提供できるからこそプロフェッショナルなのではないでしょうか。

“保育士タレント”に求められること

最後にもう1つふれておきたいのは、子供や親のために発信する人を安易に批判することの危うさ。

ある現役保育士が、「子どもや親に寄り添って色々な発信をしてくれてる方に傷つくような言葉を投げかける必要があるんでしょうか? 新しい角度からの発見とかもあると思います。結婚しているしていない、子どもがいるいないに関係なく、子どもや親が楽しく生活できる発信をしてくれている方がいるって温かく見るのでいいんじゃないでしょうか」とコメントしていました。

もしこのまま、てぃ先生に対する批判が続くと、精神的に疲弊してしまい、「発信の回数が減る」「内容が限定的になる」などの影響が出るかもしれません。今回の発言は「笑いを取りたい」という気持ちこそあったとしても、批判を受けるストレスから生まれたものであることは間違いないだけに、その可能性は決して低くないのです。

感情的な批判の声は、その回数と頻度が増えるほど、相手の行動意欲を削いでしまう怖さを持っていますし、当然ながらそれは保育の分野だけではありません。もし自分が情報を求める分野のプロフェッショナルが、感情的な批判の声に悩まされ、発信する意欲を失ってしまったら……。感情的な批判をしたくなったときほど、その行為が間接的に自分の首を絞めることにつながらないか、考えたほうがいいでしょう。

一方、てぃ先生も芸能事務所とマネジメント契約をした“保育士タレント”である以上、できるだけノイジーマイノリティに振り回されないようにしたいところ。そもそも「保育の現場では子どもがいない保育士を軽視する親は少ない」と聞きますし、ネット上のコメントに反論する必要性はなさそうです。

「子どもがいるのかいないのか」、あるいは「子どもがいても、まともに子育てしているのか」すらわからないネット上の声は、「ポジティブなものは受け入れて、ネガティブなものは受け流す」くらいのスタンスでいいのではないでしょうか。

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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