てぃ先生「子がいないくせに」反論の正当性と矛盾 プロにプライベートの経験を問うのはアリなのか

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てぃ先生はこれまで主にSNSで親に向けて情報発信やアドバイスをしてきました。「親をサポートし、幸せにすることで、子どもたちの笑顔や成長につながる」という活動スタンスは素晴らしく、だからこそこれほどの影響力を得られたのでしょう。

だからこそ、てぃ先生に求められるのは、バラエティに出演しても、信頼を失うことにつながりそうな一線を越えないこと。今回のようなメディア出演によって、せっかくの活動スタンスに影を落としてしまうとしたら何とも残念なのです。

プロに相応しくない上から目線

次に、話を保育士だけでなく、「プロフェッショナルの仕事とプライベートでの経験」に広げてみましょう。

たとえば、「マンションにしか住んだことがない」という不動産会社の営業マンが、「一戸建てに詳しくないか」と言えば、答えは「ノー」でしょうが、「イエス」と言えるところもあります。それは、一戸建ての知識や販売経験はあっても、自分が住んだことはないため、住民としての実感や悩みがすべてわかっているとは思えないから。

あるいは、「手術を受けたことがない」という外科医が、「手術に詳しくないか」と言えば、答えは「ノー」でしょうが、「イエス」と言えるところもあります。それは、手術の知識や執刀経験はあっても、自分が手術されたことはないため、患者としての実感や悩みがすべてわかっているとは思えないから。

営業マンも外科医も、てぃ先生のような保育士も、その道のプロフェッショナルですが、「自分が経験したことではないことは、すべてをわかっているわけではない」という前提を覆すことは難しいでしょう。むしろそれを認めたうえで、できるだけ相手に寄り添って接することが、本当のプロフェッショナルではないでしょうか。

また、プロフェッショナルが相手に寄り添う際に大切なのは、同じ目線で話すこと。どんなに経験や知識があっても、どんなに技術があっても、大金を稼いでいるとしても、それが上から目線につながってしまう人は、仕事の質に疑いをかけられるなど、自分が思っているような評価を得られない傾向があります。

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