もっとも、この学歴差別、区別というのは、企業は「やっている」「やっていない」の単純な2択ではない。実際は、使い分けているのである。どの大学の学生でも、就職ナビ経由で応募を受け付け、公平に選考するパターンと、上位校だけリクルーターを飛ばしたり、インターンシップに参加させたり、選考の時期を早くしたりというパターンを併用するわけである。ほかにも、優秀層は普通の選考ではなく、スカウトのようなかたちで一本釣りするやり方もある。つまり、学生が認識するのとは別の、いくつかの採用ルートが存在するのである。
HR総研の調べでも、年々、ターゲット校と呼ばれる重点的にアプローチする大学を設定する企業が増えており、2015年卒の速報値では約6割に達していた。
あと、別に差別・区別していなくても、結果として内定者はトップ校だらけということもある。そういえば、この原稿を書いている時に、「どうしても某大手ビール会社に行きたい」という明治大学の学生が、こんな相談をしてきた。「採用実績を調べたら、明治大学からその某大手ビール会社には入っても毎年数人。いや、いるかいないかという状態です。どうすればいいんでしょう?」
他のビール会社は明治大学からもっと採用しているというのだが。明治大学はいまや人気トップクラスの大学で、採用担当者からは「(人気が上がったがゆえに)最近の明治は生意気だ。以前より賢く、洗練されたイメージになっている」という声があるくらいなのだが。
というわけで、まず学歴差別があることを認識しよう。
就活のライバルって誰だろう?
これに関連して、選抜モデルの話もしておこう。
この件は『「就活」と日本社会』でもかなりのページを割いて説明したのだが、ここでも、事例をもとに考えてみることにする。
突然だが、A社を受ける際のライバルとは誰だろう? 仮に採用予定数を100人、応募者数を1万人とする。
この際、選抜モデルは次の4つに分かれる。
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