「穴を掘って埋める」ケインズ主義批判の大誤解 貨幣なき物々交換を想定している主流派経済学

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ケインズは本当に「景気が悪いときは穴を掘って埋めればいい」などと言ったのでしょうか(写真:kikisorasido/PIXTA)

奇跡の社会科学』は、マックス・ウェーバーやアレクシス・ド・トクヴィルといった社会科学の古典を分かりやすく解説した入門書です。

社会科学の古典は、現代におけるビジネスや国家政策にも有益な、いやむしろ不可欠な智慧の宝庫です。

ところが、驚くべきことに、我が国はこれまで「改革」と称して、これら社会科学の基本に反する政策ばかりやってきました。その当然の結果として、我が国は、30年もの長きにわたって、停滞し、衰退することとなったのです。本書は、そのことを明らかにするものです。

以下は、本書の中から、ジョン・メイナード・ケインズに関する箇所の一部を抜粋したものです。

ケインズ主義批判の低レベルな誤解

さて、経済学の教科書を読んだことのある人、あるいは、マスメディアなどで経済学者や経済評論家などがケインズについて語るのを耳にしたことがある人は、ケインズと言えば、「不況の時は、政府が公共投資などを行って雇用を生み、景気を良くすればよい」という景気対策を理論的に明らかにした経済学者だというイメージなのではないでしょうか。実際、この積極財政によって不況を克服するという考え方は、「ケインズ主義」と呼ばれます。

このケインズ主義を批判する人は、しばしば、「景気が悪いときは穴を掘って埋めればいいなどというのは、無駄だ」といった言い方をします。ケインズが「景気が悪いときは穴を掘って埋めればいい」と言ったということになっているのです。

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