ファンとの共創共鳴、BTSは「新しい芸術」の形か 「なんでそんなに大人が続々沼入り?」の謎

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BTSのメンバーは、ARMYを信頼していることを公言していて、自分たちの考えや興味のあることなどを、オープンに伝えてくれます。

今年の6月にファン向けのイベント期間に公開されて、世界的な話題となった「防弾会食」(彼らがアイドル産業の問題点やチームとしての表現の限界について率直に語ったことで「グループ活動休止」と大きく報道された)がありました。表面的なメッセージにとどまりやすい既存のアイドルであれば決して語りえなかった本音まで伝えようとしたからこそ、大きな反響が起こったと言えるでしょう。

毎日のように発信される「メンバーの声」

BTSが自分たちのリアルな言葉にこだわるのは彼らの音楽的ルーツと切り離して考えることはできません。

彼らが楽曲制作の核の部分を自分たちで行っていることは有名な話ですが、BTSはもともと「防弾少年団」という名にふさわしく、社会の理不尽さや大人の噓に対する若者の怒りをたたきつけるような楽曲を歌うヒップホップグループとしてキャリアをスタートしています。

そんな彼らはいまでも、ヒップホップ音楽でとくに重視されるオーセンティシティ(=メッセージの真実性)を大切にしていて、自分たちにとってできるだけ真実に近い言葉を探り続けているのです。

そのメンバーたちに呼応するようにARMYたちは彼らが好きなもの、興味のあることの中にも真実性を見いだそうとします。

メンバーたちはことあるごとに好きな映画や音楽、ファッションや絵画等をさかんに教えてくれます。ARMYたちはそれらの中に彼らをもっと深く知るヒントに加え、自分の人生さえも深めてくれるものがあるに違いないと信じ、それに触れようと努力するようにさえなるのです(オンラインゲームが好きなJIN沼に深入りしすぎたファンたちは、ゲームというもっとも生産性がないことをやり続ける彼の行為の無意味さにさえ、人生の深い意味を見いだすようになります。ARMYはすごい)。

次ページいたるところに「隠されたメッセージ」が
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