今年6月に配信されて話題になったBTSの動画「防弾会食」。デビュー9周年を迎えたタイミングでメンバーが一堂に会し、今後は「ソロ活動」に重点を置いていくことを発表した。
実質、9年間の活動の締めくくりとなったのが、今年3月に韓国ソウルで開催されたコンサート。このときのエンディングでメンバーのV(ヴィ)が「ARMY(BTSのファンの呼称)の皆さんに伝えたい言葉」として言及し、話題になった詩集があった。
過去にRMも読んだと言われている『愛しなさい、一度も傷ついたことがないかのように』である。
前回の記事では、「推しとファンの関係性」やBTSの人気の秘密について多くの発信をしている教育者の鳥羽和久氏に、改めてBTSの魅力や、彼らと文学の関係などについて話を聞いた。
ここからは、『愛しなさい、一度も傷ついたことがないかのように』の中から鳥羽氏に7人のメンバーそれぞれのイメージに合う詩を選んでもらい、それらを読み解きながら、メンバーたちの個性の奥深さに触れていく。
年上メンバーについての解説に引き続き、本稿では年下メンバーのJIMIN(ジミン)、V、JUNGKOOK(ジョングク)のキャラクターを想起させる詩をピックアップ。それぞれの詩の醍醐味を解説してもらった。
JIMIN――他者と共にまぶしい光を放つ
生命(いのち)は
生命は
自分自身だけでは完結できないように
つくられているらしい
花も
めしべとおしべが揃っているだけでは
不十分で
虫や風が訪れて
めしべとおしべを仲立ちする
生命は
その中に欠如を抱き
それを他者から満たしてもらうのだ
世界は多分
他者の総和
しかし
互いに欠如を満たすなどとは
知りもせず
知らされもせず
ばらまかれている者同士
無関心でいられる間柄
ときに
うとましく思うことさえも許されている間柄
そのように
世界がゆるやかに構成されているのは
なぜ?
花が咲いている
すぐ近くまで
虻(あぶ)の姿をした他者が
光をまとって飛んできている
私も あるとき
誰かのための虻だったろう
あなたも あるとき
私のための風だったかもしれない
─―吉野 弘
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